自分が実際に読んで、お勧めできる本を紹介します。
ここでは、海外駐在のHowToではなく、海外に住むに当たって、自分のキャリアについて考えたり、日本人とはどういった特性を持っているのかを理解するためのお勧めの本をピックアップしています。
(もちろん、これらの本は海外移住や外国人とのコミュニケーションに興味がある人にも有益だし、海外赴任が決まってから読むのもおススメ)
海外駐在のHowTo本はこちら↓
これからの働きかたについて考える本
常見陽平「僕たちはガンダムのジムである」
きらきらするキャリアを提示されることが多い中、大多数の人は「その他大勢」であり、身の程にあった生活を見つめなおすことを呼びかける内容。地に足がついた内容で「その他大勢であること」を受け入れてどう歩もうか、と考えさせる内容。
リンダ グラットン,アンドリュー スコット「ライフシフト」
人生が100年続く時代がもうすぐ来るという予測に基づき、「大学卒業 → 一企業に就職 → 退職後は年金生活」というライフプランから、「学びなおし・キャリアの再出発を行って、年金に頼らず自立した生活を続けるための、新しい人生設計」を呼びかける。
本の最初の部分にすべてのエッセンスが入っているので、そこを読めば、ほぼ筆者の主張は分かります。
海外に飛び出す勇気をくれる本
武装解除後の生活立ち上げプログラムの支援サポートをするNPO運営者の自伝エッセー。彼女の行動力たるもの、とても及ばないが、自分が置かれた状況で、自分の頭で何をすべきか考え、現場に飛び込み、努力する気持ちは見習いたい。自分の進路や置かれている状況に迷いがあった時、背中を押してくれる一冊
日本人の特性を考える本
海外駐在すると、「日本人とは何か、日本とは何か」と考えさせられる場面にたくさん出会います。相手に日本人かと問われることもあるし、日本への思いを語られることもある。こんな突然「日本代表」になるときに備えて、日本人を客観的に見つめた本は海外駐在するうえでとても参考になります。
アジア・太平洋戦争の作戦分析を組織論の観点から行い、日本の組織の特質を炙り出しています。このアプローチは、NHKスペシャルの「ドキュメント太平洋戦争」にも通じるものですね。いずれも、海外と軋轢が生じる最前線にいる海外駐在員にとって、日本人である自分の立ち位置を冷静に見つめる視点を提供してくれます
幣原喜重郎「外交五十年」
アジア・太平洋戦争前の穏健派外交を主導し、戦後は首相も務めた人物。外交官として活躍、海外と仕事をした先達が語る、海外との仕事の極意を知ることは、海外駐在員としてとても参考になります
日本社会の特性が、「場」の共有を重視しているため、タテ(上下関係)重視であり、上下関係は場にいる時間で定義されてくる、という日本社会や組織に適用される概念を説明した本。50年前の本とは思えない内容。他の社会との違い(他は横(資格=役割)を重視する)との理解を助けてくれます。また、海外在住の日本人社会について考察している部分もあり、海外と(海外で)仕事をする人には大変参考になります
陳舜臣「日本人と中国人」
日本で育った華僑という立場から、日中文化を客観的に比較。
中国は常に事実・実力に基づく科挙に代表される形式主義、日本は理念・血筋を重視する血統主義の違いがあることや、日本は知識(=結論)を外国から輸入することが多かったため、答え(書中は「道しるべ」)は「どこかにあるもの」と考えるが、中国では、答えは「自ら考え見つけるもの」、という考え方の違いが、分かりやすく論じられています。
日本的な考え方・発想・行動原理の特徴を知るうえで、とても参考になります。これも50年近く前の本ですが、内容は古びていません。
ルース・ベネディクト「菊と刀」
太平洋戦争中に米国が日本人を理解するために文化人類学者が日本文化を分析したもの。内容は今でも十分通用するものとなっています。日本文化を”恥の文化”と指摘した内容はあまりにも有名。本そのものは長いですが、10章の「徳のジレンマ」以降を読むだけでも、外から指摘される日本文化の特徴がよくわかります。
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