海外駐在=エリートコースは幻想だ

海外駐在がエリートコースかは会社によって違う

「海外駐在」と言う単語、なんとなくエリートっぽい雰囲気感じませんか? でも、実際のところ、海外駐在している駐在員はエリートなのでしょうか。3か国10年海外駐在員を経験してきた自分なりに少し考えてみました。

結構会社や業種でバラバラ


会社を越えて駐在員同士で話をしていると、特定の出世コースと呼ばれるものがあり、その中に海外駐在が含まれている会社さんも確かにあります(「今の社長も営業担当取締役も以前○○国に赴任していて、その国に駐在することは出世にとって重要」等)。

また、海外拠点が多い会社では、駐在先でエリートコースか否か別れるケースもあります。銀行、商社や国家公務員等比較的お堅い系に多い印象で、欧米はエリートコース(出世コース)、東南アジア等は標準コース、と別れていました。そういった会社では欧米の駐在員はMBA留学をしていたり、有名大学を出ていたり、実家も裕福だったりと、いわゆる上流階級の方々が多い印象でした。


一方で、自分が新卒で入社した会社なんかは、グローバル展開が進んでいて海外駐在は総合職にとっては一般的でキャリアの単なる1ステップ。総合職ならほぼみんな、どこかで海外駐在を経験しており、海外駐在=エリートコースとなっていませんでした。当時の課長クラスはみんな駐在経験者。赴任国による差もなく、インドネシア駐在経験者の課長が、先進国駐在経験者を押さえて、部長に次ぐナンバー2のポジションでした。

今自分がいる会社でも、特段海外駐在がエリートコースとは思われていません。役員を見ても別に海外出向者が幅を利かせているわけでもなく、部長級を見ても同じ。

なので「海外駐在がエリートコースなのか」の問いに対しては「会社や業種によりけり」というのが正直な所。

「キャリアアップの一要件」程度で受け止めよう


あえて言うなら、グローバル化の時代なので、海外事業を行っている企業なら海外駐在することは、キャリアアップの必要要件になのかもしれませんが、それがエリートコースか否かは別の話ではないでしょうか

ただ、これだけだと、キャリアに悩みを持っていて「海外駐在はエリートコースなのか?」という疑問を持っている方には、答えにならないのでもう少し深堀りしてみましょう。



あなたが気にしてるのは「駐在」か「出世」か

駐在は働く場所が海外なだけ

すこし回り道になるのですが、そもそも海外駐在はキャリアに影響あるのでしょうか?

答えはYES。海外駐在そのものが挑戦の場であることは事実で、こちらの記事「駐在は出世の近道なのか?」 にあるように、駐在経験を通じてその先のキャリアが分かれてくることは十分あり得ます。


3か国で駐在をし、かつ日本本社で管理職をして、いろいろな人を見てきた自分の経験に基づくと、駐在経験者のキャリアにはいろいろなタイプがあります

① 海外駐在でしっかりアウトプットを出し、キャリアアップに活かせる人
② 淡々と駐在を終え(帰任挨拶で「無事任期を終えて帰任します」と述べるのはこのタイプ)、帰国後何事もなかったかのように新しい(元の)仕事に復帰する
④ もともと伸び悩みをしていて国内に戻る場所も無く、海外オペレーション要員になってしまう人

でも、実はこれ、国内転勤や社内異動でも同じことが言えると思いませんか? 

そう、海外駐在って働く場所が海外なだけで、仕事を遂行するっていう意味では日本の中と変わらないものなんです。

「駐在」を「エリート」に結び付ける気持ち


なのに、海外駐在が特別なワードとして気になる人がいて、一定層海外駐在の損得を気にしている人がいるのも事実。そういう人が「海外駐在はエリートなのか」という問いを気にしているように感じます。そういった人にとって、実は気になっていることは「駐在すること」よりも「エリートになること」なんじゃないでしょうか?




思うに、結局「海外駐在がエリートコースなのかどうなのか」を気にする人にとっては、海外駐在そのものより、出世できるか否かが重要なポイントなのだろうな、ということ。そういう人にとっては、海外駐在が出世のための必要要件なら、是非ともクリアしなければいけないポイントとして認識されることでしょう。

「エリート」ラベルを得るための駐在なら楽しめない可能性も

なので、海外駐在がエリートコースか否かを気にして、ここに辿りついたあなた!

海外駐在を純粋に希望している人よりも、海外駐在生活をエンジョイできないケースが出てくる可能性が高くなるかもしれません。

でも、脅す気はありません。
なぜなら、駐在そのものには、人生にとってすごく意義があるからです。




海外駐在がエリートコースであることより大切なこと




駐在=エリートは結果論

自分が海外駐在をお勧めするのは、海外駐在がエリートコースだからではありません。海外駐在をお勧めするのは、新しい環境に挑戦して、成長できる場だから


そして、その経験が生きる力につながり、将来的に楽しい人生につながると考えているからです。

海外駐在を通して、リーダーシップや異文化対応力等、将来役職が上がった時に必要になるマネジメント力がつきます。そういう意味では、(結果論ですが)駐在はエリートコース(出世)につながっているといえるのかもしれません。

でもそれはあくまでも結果。海外でなくても、国内転勤や社内異動を通じてリーダーシップを伸ばせる人は自分で伸ばします。ただ、海外という極端な異文化環境の方が芽を出しやすい、というだけのことなのです。


こうしてみてくると、結局、海外駐在という機会を自分のキャリアと結びつけてどう活かすか(どう活かしたいか)という考え方が大切なことだと思えませんか?


海外駐在は「生き抜く力」を得る手段


そう、当ブログで繰り返し言っているように、海外赴任・海外駐在は目的ではなく、手段。海外駐在は変化が早いこれからの時代を生き抜く力をつける良い機会。海外駐在がエリートコースや出世に影響するかどうかなんて、気にしなくても良いです。全力で取り組めば、結果は後からついてくるのですから。



海外駐在が気になる人はこちらも参照ください!


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