海外駐在の理想的な赴任期間

経験からは3~5年


海外駐在に適切な赴任期間と言うのはあるのでしょうか?

自分の経験からは「3年より長く5年以内」というのが答え。ま、知っている駐在仲間の中には、会社側から赴任地での永住や、現地会社との直接雇用への切り替えをオファーされた人もいたりしますが・・・。
10年以上海外駐在をしてきた自分が、なぜ駐在の赴任期間は3~5年が最適という結論に至ったのか整理します。海外駐在の赴任期間について考えている方の参考になれば幸いです。

過去の自分の経験


過去三度の海外駐在経験は、インドネシア3年、
オランダ2年、マレーシア5年超と見事にばらばらです。

自分の意思で決めたケースもあれば、選択の余地が無かったケースもありますが、それぞれの駐在の時に考えたことがあります。

インドネシアが3年の理由


初めての駐在だったインドネシアに海外赴任した時の年齢は30代前半。辞令は3年。駐在任期終了前に考えたことは以下の2点。

①会社視点・・・もともと20歳位年上の人から引き継いだ「おじさんポスト」を、引き続き若手ポストとし、若手の経験を積む場としてローリングさせるべき

②個人視点・・・海外で得た経験を日本に持って帰り、日本にいる仲間へ還元・共有したい

このことを上司に伝え、若手内ローテーションと元職場への還元を目的とし、延長することなく3年ポッキリで駐在期間を満了して帰国しました。


ただ、3年の海外駐在は正直短い感じました
理由は、3年目に入ってようやく周囲の物事が分かってきて、思うように仕事が出来始めたからです。最後の1,2ヶ月は引継ぎもあり、仕事を十分やったという気持ちになった期間が一年未満、と非常に短く感じたのです。

オランダが2年だった理由

その次に駐在したオランダは、もともと2年の海外駐在期間での辞令。決まった時期までに会社清算という特殊なミッションで、駐在地そのものがなくなるため、駐在期間延長の選択肢はありませんでした(それでも残務整理目的で1.5か月は伸ばしましたが…)。そのため、インドネシアで感じたやり残し感をオランダで解消することは叶いませんでした。


マレーシアが5年の理由

なので、その次のマレーシアは3年の辞令をもらい駐在しましたが、自分や妻の腹積りは最初から5年。2年目の終わりくらいに会社側へ自分の希望を伝え、会社側も納得の上で3年+2年で5年+αの海外赴任期間を過ごすことになりました。

他の駐在員の声は?

他の駐在員の方の声はいかがでしょう?自分のツイートに寄せられたコメントからは、5年前後の海外駐在期間が理想的っていう声が見られました。


一方で、少し古いですが、2007年に独立行政法人 労働政策研究・研修機構が行った駐在員調査では、平均37.2か月(3.1年)という結果が出ています。1年未満の研修の方も入っているので、実際の「駐在員」の駐在期間はもう少し長いかもしれませんが、平均的には5年はやや長めかもしれませんね。


自分の肌感覚でも、他社の駐在員の方との交流で「5年目です」と自己紹介すると、「結構長いですね」というリアクションが多いですね。

実は国内も海外も変わらない


一方で3年の海外赴任期間は短いのでは?という感覚は、実は日本国内でも同じような話があります。

とある会社の社長が「1年目は何もわからん、2年目は大体わかる、3年目はベテラン、4年目以降はアホになる」という格言(?)を紹介してくれたことがあります。4年目以降のアホは、慣れてきて成長が止まるという意味ですね。3年目にしてようやくきちんと仕事ができる、という点では、自分の経験と同じ内容です。

「石の上にも3年」のことわざがあるように、昔から、3年間は、あることに習熟してアウトプットできたり、納得した仕事ができるようになるのにかかる期間ではないかと考えています。

一方、自分の社会人経験に基づいて上限を考えると、6年間同じ仕事をしていた時期の最後の1,2年は飽きてしまって惰性で仕事をしていた時期だったと記憶しています。


ということで、仕事に集中して、かつ楽しんで取り組める期間として「海外駐在は3年以上5年以内」が理想的な海外赴任期間だと結論づけています。

理想的な海外赴任期間3~5年はわかったとして、以下、簡単に海外赴任期間を決めていくためのTipsをおまけで書いておきます。


海外赴任期間を主体的に選ぶためのコツ


自分がいた会社は、海外駐在は基本3年、そこから先は会社の指示あるいは本人の希望によります(組合員は基本3年)。自分は、いつも2年目の半ばくらい(海外赴任後1年半)経った頃に、機会をとらえて赴任先・赴任元共の上司や担当役員に対して、自分の成果とこれからどうしたいか希望を伝えていました。


なぜか?

ローテーション(後任)のことを考えていない適当な人事方針の職場もあるからです。

そうならないように、帰任したいなら帰任希望時期や帰任したい積極的な理由、後任に相応しい人物名や要件の提示をしていました。延長したいなら、周囲を納得させるだけの現地での仕事ぶりを心がけていました。

これを根回しと言ってもいいし、自分の考えを周囲に伝え環境形成をしていた、といってもいいですが、とにかく積極的に周りに自分の考え・意向を伝え、働きかけていました

自分の人生、人任せにしないことが大切。



自分の人生設計のために定期的な見つめ直しが大切


これがポイントです。自分の人生を主体的にデザインしていくこと、そしてそのための準備や行動

実は、このことは、別に海外赴任しているが故の必要な特別なことではありません。自分がどういう人生を築きたいのか、というライフデザインの一環だからです。


この思考訓練を繰り返し行うことで、より納得感の高い人生を選ぶことにもつながり、人生全体で有益なことにつながります。(「駐在員として海外で働くメリット」でも書いたが)せっかくの人生、他人に委ねるのではなく、できる限り自分の手で作りたいものですね。

3~5年程度、というのはライフイベントを踏まえて人生を定期的に見直すにも程よいインターバルなのだと思います。自分の人生を振り返ると、なんとなくそんな気がします。

もちろん、人生観は人それぞれだから、ずっと同じ仕事が良い、環境を変えたくない、という人もいるでしょうし、それを否定する気はありませんが、定期的に人生を転がしていくのも、また面白いものです。



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