家族帯同駐在をして気づいた大切なこと(駐在員男性目線)

アラフィフの帯同駐在お父さんが感じる悔悟

今まで、あまり積極的に触れていませんが、駐在員本人から見た家族帯同のことを書きます。

これって書くの難しいんですよね。仕事優先で、だいたい子供のことは妻に任せっきりで、何か後ろめたくて。まぁ、それが標準的なアラフィフ世代のサラリーマン+専業主婦家庭の夫側の感覚じゃないでしょうか。




それでも書くのは、後続の海外駐在の方々が、アラフィフ世代の悔悟を他山の石として、海外駐在時のよりよい家族関係の構築の参考になればよいかな、と考えるから。ちょっと他人事感が漂っているかもしれませんが、普通の「駐在お父さん」目線だと思って読んでいただければ幸甚です。


オランダでストレスに耐える子供の姿に衝撃

我が家はイ蘭馬3か国とも子供連れ家族帯同でした。

最初のインドネシアは子供が小さく、最後の一年位(3歳)を日本語幼稚園に通わせました。インターという選択肢もあったんですが、夫婦で「まずは母国語である日本語をしっかりさせることが、その上に構築される思考力や多言語の語学力の為に大切だ」と考え、この選択肢を取りました。この時点では、それほど心のモヤモヤは深くありませんでした。

インターに放り込まれた子供

2回目の駐在、赴任先はオランダでした。5歳の子供をインターに通わせました。本人は赴任前に英語のレッスンを多少して行きましたが、ペラペラなわけでもありませんでした。なので、突然英語環境にポーンと放り込まれて大変だったと思います。通い始めて、最初の頃、夜寝るのを嫌がりました。相当ストレスがあったんでしょう。

推測するに、

学校で楽しい気持ちになれなかった
→ 帰宅後精一杯遊びたい+寝れば次の日が来て、またわけのわからない学校に通う
→ なので「遊びたい、寝たくない」

だったんだろうと思います。毎晩大泣きしていました。トラムで通っていたんですが、朝もぎりぎりまで家で粘っていて、トラムに駆け込んでいました。その後ろ姿は、漫画に出てくる、遅刻ギリギリの学生。いろいろ事情はありましたが、インターに通わせる選択肢を選んだ当事者としては、子供のストレスに耐える姿は衝撃的でした。

自分が経験したことないことを子に強いる辛さ

でも、それを責めたり咎めたりする気持ちにもなりませんでした。自分は大人になるまで日本語オンリーの環境で「何語の学校に通うか」なんて考えることも悩むことも苦労することもなく、ノホホンと育ってきたにもかかわらず、子供を自分が経験したこともないインターに放り込んでいるんですから。

むしろ、自分ができてないことを人に強いている現実が辛かったですね。

「お前ができるのか?」と問われているような罪悪感


小さい子供なので本人から自分が直接言われることはありませんでしたが、「お前ができるのか?」と常に問われているように感じてました。もし言われていたら、言葉を返せなかったと思います。罪悪感ともいえる感情でした。

こういう現実を経験して、帯同する側の自分が出来ることは、子供を追い詰めないこと、本人の気持ちを受入れ寄り添うこと、そう強く思いました。


家族でも計り知れない心の中がある

妻も辛かったと思います。そういう子供を毎日見て、朝から夜までケアしているわけですから。

本人は子供のことだけでなく、自分自身のこと、家のこと、いろんなことをマネージする帯同妻の立場。日本にいたのならできる、実家に頼むなんてこともできない駐在生活。昼間、自分は職場に行って仕事をしている間も、彼女はたくさんの困難な現実に直面していたはずです。


弱音を聞くことはあまりなかったですが、夫婦で、子供の学校への慣れ具合や友達との関わり等結構話し合った記憶があります。彼女にも自分の想像以上に、いろいろ苦労があり、悩んだり、辛い思いもあったようです。

妻の心中すら想像しきれない自分という現実

オランダに駐在する5年前に赴任したインドネシア駐在時代、インドネシア語しかできないメイドや運転手とコミュニケーション取るために、子供を寝かしつけてから必死にインドネシア語を勉強していたそうです。そんなことを教えてくれたのは、7年も8年も後になってから。消化して説明するのにそれくらい時間がかかるほど大変なことだったんだと思います。

インドネシア駐在当時の自分は、朝6時頃に起きて夜12時くらいに帰ってきて、平日は一切家族と顔を合わさない生活でした。わずかな休日にはそういうことをみじんも感じていませんでした。我ながら鈍感。でも、自分の妻でさえ、計り知れない心の中があるんだと考えさせられたエピソードです。

仕事中心で家族の日常生活に少し距離感がある側(要は帯同する側)って、こんな事態を十分想像して駐在に来たか? 少なくとも自分は想像できていませんでした。そんな思いを抱きます。そして、世の帯同する側、特に男性陣って少なからずこんな発見あるんじゃないでしょうか?


今家族帯同で考えること

そういう経験を踏まえて、連れていく側(仕事をしている側)として、今何を考えているか? 自分が今心掛けていることを列挙してみます。

・健康でいること(余計な手間かけない)
・家にいる時は家族を優先させること
・疲れていても妻の話を聞くこと(テレビやスマホを優先させない)
・家族の考えることに理解・共感を示すこと(議論でやり込めない)
・家族の希望や意見を優先させること
・自分や会社・世間の意見を持ってきて押し付けないこと

子供含めて、家族といえども他人です。意思を持って血が通った体温を持った生き物で、モノではありません。仕事の都合で海外に来ている自分に、敢てついて来てくれて、日本とは違う不自由さもある海外生活に巻き込まれてくれている、それだけでも十分有難いことじゃないですか。会社からの命令で赴任する本人より、家族の方が偉いです。感謝しましょうよ。そう思います。

身近な家族をリスペクト出来ない人に仕事はできない

「俺は仕事に一生懸命なんだから、そんなことまで気を遣ってらんねぇよ」という方もおられるかもしれませんね。ご苦労さんです。そうかもしれませんね。

でも、一番身近な家族をリスペクトせず、Happyに出来ない人間が、もっと離れた他人が集う職場で良い人間関係を築き、アウトプットを出せないのも、言えるんじゃないのかな、なんて自分は思います。

家族への会社や思いやり、想像力を働かそう

決して家庭最優先でやってきたんだ、と胸を張って言うことはできません。それでも人様に、反面教師として言えることがあるとしたら、家族への感謝や思いやり、想像力を忘れないことをお勧めします。


帯同される方(特に男性)は仕事をしているからエライとか、自分が家長だ、稼いでるからエライ、だから家族のことも自分が決めるなんて考えは忘れましょう。家族であろうとも、人は人、対等な立場です。お互いをリスペクトしましょうよ。

特に海外駐在は、日本の中と違って孤立しやすい環境。家族で手を携えて、力を合わせて生きていかなきゃいけない環境です。家族の力を最大限に発揮して、みんなHappyになるために何が大切で、どう動かなきゃいけないのか? それを忘れないようにしたいものですね。

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