駐在で英語力を気にする前に必要な事

当ブログの検索ワードを見ていると、海外駐在で英語力を気にしている人が多いことが分かる。でも、当ブログで伝えているのは、英語ができないことと駐在に向いていない事とはイコールではないということ。

言葉だけでコミュニケーションしているわけではない

なぜ、英語力と海外駐在向き不向きがイコールではないのだろうか?

やや哲学的な内容だが、人間、究極は他人同士で、どこまで行っても分かり合えるものではないと思っている。

だからこそ、多数の人間がスムーズに社会生活が営めるようにルールや道徳が作られているし、話し合いや相手への思いやりを通じて理解し合おうという努力をする生き物だと考えている。(書店員の長江さんのコラム『「みんな分かり合える」なんて大間違いだ』はその意味で示唆に富んでいる)


夫婦や恋人を例に考えてみよう。

関係が破たんするのは、どういった理由からだろうか?

統計上、一番多いのは「性格の不一致」で、もう少し具体的に言うとコミュニケーション不足である、と言う指摘がある

日本人同志のカップルもまだ多いだろうから、言語がコミュニケーション不足をカバーしているわけではなさそうだ。

別の見方をしてみよう。
自分が恋愛している時、恋人にどういった態度で接しているだろう?

言葉だけではなく、手紙やメールを書いたり、ハグをしたり、笑顔や微笑みを見せたり、様々な方法を通じて、自分の気持ちを相手に伝えているのではないだろうか。

これらは、言い換えると「自分の気持ちを伝える語学力も、あくまでもツール」である、ということに他ならない。


海外駐在と日常のコミュニケーションは違う?


以上のことと、仕事で英語を使うこととは別、という意見もあるだろう。今までの駐在の経験を踏まえると、そうではないと感じている。日常と仕事は一人の人間がしていること、つながっていることなのだから。

英語がどんなに流暢でも、ふんぞり返って人の話を聞く人と、多少英語がたどたどしくても、前向きに相手の目を見て話す人と、どちらと仕事をしたいだろうか?

仕事においても、語学力の前に、普通に人としてコミュニケーションをとる姿勢があることが大前提にあり、それが英語ができない事と駐在に向いていない事とがイコールではないという意味になる。


英語力に自信が無い自分が海外駐在中に心がけたこと

では、英語ができない時、どんなことをすればよいのだろうか?

自分の場合、相手の話を目をそらさずに聞く、最初に会った時は笑顔で握手する、穏やかな感情を保つよう心掛ける、会議が終われば笑顔で握手をする、そんな基本的なことを大切にしてきた。

文化的背景が異なる相手を議論で論破するのは、あうんを大事にする日本人的会社習慣に慣れてきた自分には、難しいことだった。なので、相手の意見をよく聞き、ポイントを見つけ出し、折り合いが取れる妥協点を探す姿勢を心がけた。
日本人的会社習慣が染みついている自分にはそれが一番適している方法だと思ったのだ。

そのためには、攻撃的な態度では話が進まないし、話の入り口にすら立てない。相手の信頼感をいかに得るのか、が重要だったため、オープンで話しやすい雰囲気を作るよう心掛けたわけだ。


会議なら、相手のコーヒーカップが空いたらおかわりがいらないか聞くのも良い。ポットを持ちあげて「いるか?」というジェスチャーだけでも十分通じる。

会議が白熱してきたら、お菓子の皿持ちあげて示しても良い。これだって言葉はいらない。お菓子をおいしそうに食べる、それでもよい。相手は、意外と自分の行動を見ているし、言葉なしでも気持ちは通じるものだ。

一度、会議中リンゴをほおばったのだが切り方が大きく噛めず、ほっぺたをリスのように膨らませたままでいたら、皆に失笑されて、その場が一気に和んだこともある。


英語だけがコミュニケーション手段ではない


こんな感じで、英語力以外に相手を同じコミュニケーションの土俵に引き入れる方法はたくさんある。

相手に信頼されたり、親近感を持ってもらえれば、多少の語学力不足があっても、相手は話を一生懸命聞いてくれるだろう。

話を聞いてもらえると思えば、たどたどしくても英語を話す機会が自然に増えてくる。

そうすれば経験値が高まり、一層の語学力の向上につながる良い循環も回り始める。

つまり、海外駐在初期の語学力不足は、他の方法で十分相殺されるものなのだ。


それに、言葉以外のコミュニケーションのノウハウ、引き出しは日本に帰っても同じように使えるし、別の外国でも通じる。一度身につければ、一生モノの資産になるのだ。


海外駐在は語学力に自信が無くても大丈夫!


だから、声を大にして言いたい。海外駐在は、語学力に自信が無くても大丈夫
自分がそこそこ普通の良識を持って日本で仕事していると思えれば、海外駐在でやっていけるチャンスは十分にあるのだ、と。

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