コラム:海外駐在中の印象的な言葉

海外駐在を通じて色々な人と仕事をしてきた。海外駐在の醍醐味は、いろいろな人に出会え、様々な考え方に触れられること。もちろん日本にいてもそういうチャンスはたくさんあるけれども、海外駐在すれば、その振れ幅は日本で感じるより、一層広くなるだろう。

その中で、海外駐在中に今の自分の仕事に影響を与えた言葉を紹介したい。


  「出来ないことは分かった。それはいいけど、ソリューションはなんなの?」

サービス部品の在庫が無く、すぐに日本からオランダに送れないことが分かった時、日本本社の担当者は「その部品は無い、送れない」という回答を繰り返すばかり。

現地のサービス課長が求めていたのは、待っているお客さんにどうしたら問題を解決させられるのか、ということ。

課長も答えを持ってこい、と言っているわけではなく、どうしたらよいか一緒に考えてほしい、と言うことだったことを察し、担当者の上司に伝え、相談に乗ってもらった。特に管理部門の仕事をしていると、「ルールに無いから」「前例がないから」でゼロ回答をしがち。

本当にしないといけないのは、今ある課題を解決すること。「できない」という回答だけでは問題は解決しない。
困っている人を見つけたら助ける、協力する。そういったことは国を問わず共通していること。今も仕事のスタンスとしては、課題があれば多少部署の垣根を越えても、解決しようと共に汗をかくようにしている。

  「馬を川のそばまで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」

オランダの上司の口癖。

定期的な面談の時、いつも言われていた。「君にマネージャーとしてのアドバイスをするのは自分の仕事だから、いくらでも喜んでする。でも、それを実行するのは君自身」と。

話を聞くことは簡単、要はやるかやらないか、という話なのだが、いつも「君はどうする、君はどう考えて、どうアクションする?それは君の問題」と問われていたように思う。

それ以降、自分の考えを常に意識するようになった。また、周囲と仕事をする時、相手が納得して自発的に動かないものを、無理やり動かしても良い結果は出ないと、自分の中で区切りの一線を引けるようになった。



 「今本当に困っている。今後取引を約束するので助けてほしい」

リーマンショックの時に売上が急減。資金を集めなければ、仕入先への支払いができない事態になった。このままでは多くの仕入先に迷惑をかける。そんな時、今まで取引をほとんどしていない日系銀行に上司が頭を下げて口にした言葉。

調達経験が長いその上司は、GiveTakeを地で行っている人で、単なる無理なお願いではなく、お互いがWin-Winになることをいつも念頭に置いて仕事をしていた。いつも相手に納期をきって資料を出してもらうことが多い管理部門出身の自分にはとても勉強になった。
そして、できるだけ、相手の目線に立って、自分がやっていることが相手のためにもなっているのか、俯瞰する癖がついた。


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