住みやすい国ランキングから見える日本の姿


住みやすい国ランキングを通じ日本を客観視する


駐在をお勧めする記事を書いていますが、自分の経験に基づく内容なのでどうしても主観的な内容になってしまいます。

ということで、客観的に見てみよう、とするのがこの記事。

具体的には、世界中で行われている住みやすい国ランキングを横串を通して見て浮かび上がる日本の姿から、「日本人駐在員」としての気づき点を見つけよう、という主旨です。

これから紹介するのは、最近出てきた駐在員アンケート。さあ、日本のランキングはいかに、そしてその内容はどんなものなのでしょう?


Expat Insider2018

駐在員人事コンサルティングInter Nationsが毎年行っている調査。187か国、18千人以上の駐在員が参加した調査。

日本48位(68か国中)


いまいちですね、中位という感じでしょうか。

Ease of Settling inが低いです。もう少し細かく見ると、その中でもLanguageはほぼ最下位。それ故か、Finding Friends Feeling at home も低評価。
Friendlinessは平均レベルなので、つきあいさえ始まれば問題無いようですが、その前の社会への同化・参加への段階で大きな壁があるようです。いわゆる、ウチとソトの理屈で、ソトの人である駐在員は何か感じるものがあるようです。


HSBC Expat Survey 2019

グローバルに展開しているHSBC銀行が毎年駐在員を対象に行っているアンケート調査。対象33カ国。

日本32位、ほぼ最下位!

先ほどのExpat Insider2018と同様、Ease of settling inMaking Friendsが低いのが気になりますね。やはり社会に溶け込めにくいと思われているようです。また、Work Life balanceも低いです。

一方でQOLは低くありません。物理的な生活環境には問題は無いものの、先ほどの調査でも述べたように、外国人駐在員にとっては、社会への溶け込みが難しく、それゆえに居心地の悪さがぬぐえないようです。


The Global Expat Index 2019

Globehunters社がOECD加盟国34か国の各種指標に基づき、ランキング。こちらはアンケートでは無く、各種指標からランキングを算出。

日本21位(34カ国中)

指標が、金額や年数などバラバラで横並びで見にくかったため、偏差値に直しています。平均よりやや下、というところ(偏差値46.6)。

高評価は寿命、一方で幸福度指数やExpatの数が平均をかなり下回っています。



さて、3つの調査をざっと見てみました。どう感じましたか? 外国人駐在ん空の日本評価、高くありません、というかむしろ低いかも。個人的には、やや意外感ある結果。何か巻き返すような調査は無いモノか…あります、こういう調査があります。

ベストカントリーズ2019

USニュース、BAV社、ペンシルバニア大学ウォートン校による共同調査。36か国、2万人以上の調査に基づき80か国をランキング。分析の対象とした指標は結構たくさん。

こちらの調査主旨は、各国の経済・政治、文化の今後の可能性を見える化するといったもので、これまで見てきた世界の国別住みやすさランキングのような住みやすさとか快適さのランキングではありません。

日本2位!!

スイスに次いで堂々の2位。

特にアントレプレナーシップやビジネスのオープンさが高い評価を得ています。一方で、人権の尊重、男女平等、所得格差等が低評価。なんとなく、ビジネスをするには良い場所だが、住むには今一つ、という感じでしょうか。

他の調査とも何か通じるものが見え隠れしているようにも感じます。



各種調査から言えること


どうだったでしょうか?少しまとめてみましょう。

これらの国別住みやすさランキング調査は、調査ごとに項目が違いますが、日本に関するする限り、低評価項目は共通した内容でした。

すなわち…

 ・社会への溶け込みやすさ

 ・生活の楽しさ、ワークライフバランス


あくまでも国別住みやすさランキングの結果だけに限った仮説ですが、外国人駐在員からみれば、日本は生活を楽しむには難しさがあり、住みやすい国ではない、と言えるのではないでしょうか。



住みやすさランキングからの学び



日本社会と外国人の間には壁がある

さて、こういった結果から、これから海外駐在員として、あるいは海外の人と仕事をする人間として、どのような学びが導き出されるでしょうか。


自分なりの結論

 ・日本社会は世界の主流ではなく、外国人との間には壁があること

 ・今まで自分が身につけてきた日本的発想は必ずしもスタンダードではないこと

 ・なので、自分のスタンダードを外国人に当てはめることを求めることは、
  相手にとって違和感があるのだろう、ということ


マレーシアのエンジニアと話をしたとき、日本国内向けの車はなんであんなに独特で、欧州やアジアで受け入れられにくいデザインにするのだ? と疑問をぶつけられたことがあります。日本人は独特の感性を持っていると思ったほうがよさそうですし、これらのアンケートはそれを裏付けているのではないでしょうか。

独自性は誇るべきことだが客観視する自覚も大切


日本の製品によく使われる「ガラパゴス化」というキーワードに象徴されるように、日本では、生活環境や文化様式などに合わせて独自の発展をしがちです。

これは、これで誇るべきことでしょう。他に無い価値観や基準を持っていることだから。

一方で、いざ駐在員としてグローバルな環境、異文化のもとでの仕事するとなると、自分達が考えていることが、必ずしも正解ではない、ということを十分気にかけておく必要がありそうです。
他の考え方もあるし、ひょっとしたら自分達は世界のマイノリティーかもしれません。


駐在員として仕事をすることは、一時的な観光とは全く異なります。
何年にもわたって相手と向き合い、信頼関係を築く必要があります。
であれば、自分達は特殊であり、グローバルスタンダードから距離がある社会出身なのだ、という自覚が大切ではないでしょうか。

0 件のコメント :

コメントを投稿

ご質問、ご相談等でコメント欄に書きにくい内容はお問い合わせフォームをご利用ください。