日本の立ち位置からみた駐在のメリット


今回は、海外駐在をお勧めする理由の一つの切り口として「世界の中の日本」という観点から話をしてみようと思います。

インペリアルカレッジロンドンでの日本の立ち位置

最初に、旅行でロンドンにあるImperial College London(ICL)の無料キャンパスツアーに参加した話をしましょう。

ICLは世界有数の理工系大学で、ノーベル賞15名、フィールズ賞2名を輩出し、大学ランキングTimes Higher Education World University Rankings 2019で総合世界8位ににランクされるような名門です。ロンドンを訪れた時、無料だし後学のため、ということで中学生の子供を連れて参加しました。

関係ないですが、海外で大学を訪れるのも中々面白いものです。

ミュンヘン工科大学(TMU)のキャンパスには、4階から一気に滑り降りるスライダー(右写真)があり、誰でも無料で楽しむことができます。



閑話休題。キャンパスツアーに参加していたのは、インド系、ラテン系、アジア系等10組ほど。中には、一人で参加している中華系の高校生もいました。また、皆さん次から次に学生ガイドに質問し、その積極性、熱気はなかなか日本では見られないものでとても興味深かったものでした。

学内を回ると、アフリカ系ムスリムを始め日本や東・東南アジアではなかなか見ない多種多様な人々であふれていました。なじみあるアジア系で言えば、中華系・韓国系の独壇場。

日本人らしき人は見当たらず、唯一日本が垣間見えた場所は学内の日本食売店Kimiko。これがまた人気だったんですが、世界最先端の知的交流の場で、ぱっと目につく日本のプレゼンスが日本食とはちとさびしい限り・・・。もっとじっくりいたら他にもあったんでしょうが、一時間半の滞在で見かけた「日本」はここだけでした。



(Imperial college London 公式ウェブサイトより)


何が言いたいのかと言うと、こういう世界中がごっちゃになっているような場に行くと分かること。

それは、「日本は世界のごくわずかな一部である」ということです。

数字で見る世界の中の日本

どういうことか、もう少し数字で見てみましょう。


例えば人口比。現在世界の総人口の約1.5%が日本人です。

これでも決して多くは無いのですが、国連の2019年の推計では、2050年には日本の人口は世界総人口の1%未満になると推計されています。今、世界から無作為に100人集めてきたら日本人が一人は入っているけど、30年後には一人も入っていない可能性もあるわけです。


人口がそうであっても、経済規模は違うんじゃない?という考え方もあります。確かに購買力平価GDPで今でも世界4位を誇る国であることは事実。では、将来はどうでしょうか? PwCが行った2015年の調査結果があります




さて、日本は見つかりましたか?

これらはあくまでも予測でしかありません。

でも、人口減少が現実に始まっている日本は、これから世界の中でのプレゼンスは小さくなっていくことは否めません。

これが今の日本を取り巻く現実であり、これから日本人が向き合っていかないといけない未来の姿の一端なのです。

この話が、どう海外駐在と結びつくのでしょうか?

実は、海外駐在をお勧めするのは、日本を取り巻く環境変化への対応になる可能性を秘めているからです。

海外に出て今の環境を見つめてみよう

駐在を通じ、日本の外に出ることによって、嫌が応でも日本を客観視し、世界を知ることになります。

ICLのキャンパスで見た日本のプレゼンス、世界中の観光地で見る圧倒的な中韓系アジア人、欧州に行けばインド系やアフリカ系も溢れています。

日本には無かった光景が世界には広がっています。

海外旅行は基本的に短期間なので、ひょっとしたらあまり何も思わないかもしれません。

でも、海外駐在すれば、駐在国の超マイナーな存在として、数年の生活をすることになります。下の図は、国別の日本人長期滞在者数と総人口を比率化したものです。当たり前ですが、どこに行っても日本人はマイナーな存在ですね。





駐在するということは、世界的な視点でこれから日本人が直面する世界の中の one of themを先取りしてリアル体感することだと、理解していただけるのではないでしょうか。

これは、駐在せずに日本の中だけで完結した生活をしていたら、簡単には想像がつかないことです。実体験の重みですね。

 大切なのは現状を客観視する視点を持つこと

考えてみて下さい。日本の中だけでしか生きていけなかったら、人口比で言えば世界の1%の中にしか生きていく世界の選択肢はありません。

でも、不安に感じることも無いと思ってます。

日本は他の国にはない、ユニークな文化や考え方を持っています。経済的にも、順位を下げると言っても、世界の十指に入る大国でい続けることには変わりありません。新興国の人々からすれば、まだまだ、とても恵まれている位置にいるのです。

意識しないといけないことは、「今の日本が豊かだから、これからも豊かでい続けるわけではない」ということ。

先達が築いた豊かさは、ブラッシュアップしなければ維持できません。現状を肯定せず、今の環境を客観視し、次への取り組みをしていくこと。新しい時代や環境を知り、実際に動いていくことが大切なのです。

車が定期点検して部品を取り換えていかないといずれ動かなくなるのと同じですね。
海外駐在は、その視点を与えてくれます

 駐在は未来への希望を増やす選択肢

海外駐在して日本の外に出れば、経済成長して活気に満ちる世界をリアルに知ることができます。その中で生活する人も、変化していく新興国の社会システムなども体感できます。

そうすれば、自分が今まで知っていた日本と比較ができます。

比較できれば、ギャップが分かり、どうすればより良い方向に進めるか考えられます。

ここまで来て、ようやく自分や家族の人生をよりよく切り開いていくための入り口に立つことができるのです。で、これこそが駐在の醍醐味といえます。

日本の中だけでしか生きていけなかったら、世界の1%の中にしか生きていく選択肢はないのです。

でも、日本の外に飛び込めば、1%が、2%・3%に広がっていきます。

生きる選択肢、知恵が23倍になる、って思うと駐在で海外に出ていくことはすごい未来への希望にも感じませんか?

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