海外駐在すれば給料が増えるってホント?
増えるなら、どんな理由で?
自分の給料をベースに検証してみました。さすがに個人情報なので数字は非公開ですが、イメージや構造を理解していただくには十分だと思います。
そのあたりを念頭に置いていただいて、「基本はこんな感じなのね」とイメージを持つ参考にしてください。
検証を通じて、分かったこと。給料は確かに増えます。
でも、それ以上に、給料が増えた実感を与える駐在ボーナスともいえる構造が隠れていました!
駐在員の給与の構造例
現地事業体に出向するので、現地企業からもお給料をもらいます。メッチャ増えるように感じるかもしれませんが、海外手当を除けば、日本でもらっている給料レベルになるように設計されています。つまり、物価水準が安い国なら、現地給与と今の給与の差が補てんされ、物価水準が同じような先進国なら、特に補填はありません。
支給額ベースで駐在員給料は増えるのか?
注目は日本給料と現地給料合計が、海外赴任前の給料並みであること。日本から支給される海外手当相当の海外給与分が増加の理由でした。
手取りベースでは更なる収入増となる仕組み
駐在地と日本の物価差が更に収入増に拍車
この水準って、新興国以下では、駐在員は超金持ちとは言えなくとも、金持ち階級そのもの。
インドネシア時代、現地給料は10万円程度でしたが、家庭車のドライバーの月給は2万円弱でした。これは当時のジャカルタの最低賃金並、ざっくりいえば日本での20万円位ですか。
これで、彼はきちんと妻子供を養っていました。ここを基準に見たら、当時私がもらっていた給料は、日本でいえば、100万円以上に相当する水準の給料をもらっていたわけです。
まとめ
駐在すれば確かに給料は増える
でも、そうじゃないのが現実社会。次はそのことについても述べます。
給料が増えるから駐在はオイシイのか?
一つの視点だけでは片手落ち。給与の理屈は分かったけど、なぜ高い給与設定になるのでしょうか?
会社はボランタリーに貴族生活を体験させてくれるのでしょうか?
それならなぜ?そもそも、もらった給与で貴族のような生活ができるのでしょうか?
貴族のような生活ができるのか?
駐在には、それなりにお金がかかります。
駐在生活はかりそめの生活ですから、日本の生活レベルをある程度維持することが殆どです。
例えば、日本食材の購入。輸入品なら日本の2~3倍の値段です。これだけで、先ほどの物価差による給料アップは相殺されますね。
現地品もあります。例えば豆腐。
スーパーの店頭には6か月持つ豆腐を売っています。隣には2倍の価格で日本からの輸入した豆腐もあります。あなたならどちらを買いますか? 海外駐在員の生活ってそんな感じなのです。
また、衛生管理上、どうしても信頼できる高級スーパーを使いがち。そうすれば、ローカルマーケットより高価だったりします。先ほど、KLの物価水準は東京の2.6分の1と書きましたが、駐在員が行きがちなこぎれいなお店なら、劇的な価格差はありません。
それだけではありません。デングや肝炎等の衛生管理、大気汚染、施工不良による住宅トラブル、治安への配慮等、日本ではそれほど気を遣わなくて良い分野での配慮は欠かせませんし、それだけ神経を使う生活があります。
給料増加は苦労の対価
10年以上海外駐在して、そのうち大半を新興国で過ごしてきた経験から考えると、個人的には、駐在員の給料は特権階級に選ばれた人間への対価だとは思いません。海外で苦労しながら生活するための対価であり、給料が高いのはそれだけ苦労があることを意味していると考えています。
駐在で大切なことは何だろう?
もちろん、お金はあるに越したことはありません。ですが、駐在した時にぶつかる異文化コミュニケーションの壁、日本から離れたところで生活する苦労、お金は解決してくれません。お金のために、コミュニケーションを犠牲にしていては、せっかくの海外駐在せ一かつも実りあるものになりえません。
生きる目的がお金ではないのと同じことで、3年4年を金のために過ごすって、勿体ないですよね。
駐在は、高い給料をもらい豪遊するためヨソの国に住むのではなく、駐在国の人のためになる仕事をしに行く立場。そのことを第一義だと考えられる人でないと、カネカネだけでは、なかなかしんどいだろうな、というのが経験者としての実感です。
さて、いかがだったでしょうか?
駐在すれば給料は増えるは事実。そこだけ取り上げればいいこともありますが、物事は多面的に見ましょう。駐在の目的をはき違えないようにして、実りある駐在生活を実現して下さい!
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