子連れ海外駐在の学校選び


はじめに

駐在中の子供の学校、悩みますよね。せっかくだから、インターに通わせようか、というご家庭もあるでしょう。

子供をインターに通わせて、通算6年になりますが、苦労も多いです。実際は、妻が殆どの苦労を背負ってくれていますので、自分が語れることってあまりありませんが、これから駐在される方のために、自分の経験といくばくかの考察を書きます。皆さんのご参考になれば。


まずは、3か国9年の駐在生活での我が家の学校選びの歴史を振り返ります。駐在3か国がもともと決まっていたわけではないので、その都度考えながらきた結果でしかないのですが…。

子供の年齢に合わせてどうやって学校を選んできたのか、が分かります。3回海外駐在しているので、皆さんのお子様の年齢に合わせたヒントがあるかもしれません。また、振り返りを通じた最後に、こう考えたらいいのでは、というヒントを記します。


3回の海外駐在での学校選び

幼児期(3歳まで、インドネシア)


幼児期は、両親が日本人である以上、本人も日本人であることは避けられないので、日本の風土や感覚に基づいた考え方を理解できる基礎をつくる時期。

例えば日本語には豊かな擬音語があったり、年長者に対しては丁寧語を使う等、風土に基づいた言葉の使い方があります。こういうことを理解するためには、母語としての日本語が必要。幼児期は日本語にできるだけ触れて、どんどん取り入れていかないといけない時期だと考えていました。

そのため、インター幼稚園は考慮せず、日本語のプレスクールに通わせました。

赴任前からそれは結構明確で、子供が1歳になる前に下見で来た時に、夫婦でいくつかの日本語プレスクールを見学していたことを覚えています。ここは結構ブレがありませんでした。

幸い、ジャカルタには日本語のプレスクールがいくつもあり、その中で一番規模が大きい所にしました。先生もしっかりしていて、遠足などもあり、日本の幼稚園に近い雰囲気がありました。おかげで、帰国時に日本の幼稚園に入りましたが、すんなりと溶け込めました。これはこれで良い選択だったと思ってます。


学童期(6歳~8歳、オランダ)

その後、子供が幼稚園年中の時、オランダへの赴任が決まりました。急な赴任だったので、夫婦間でよく話し合う間もなく自分が出発してしまったこともあるのですが、実は、最初子供の学校についてはあまり深く考えられていませんでした。

オランダは世界一子供が幸せと感じている国、とも言われていたことや、2年の短期駐在と分かっていたこともあり、「良い経験になるかな」くらいの気持ちで、なんとなく現地校にいれるつもりだったことを覚えています。

ところが、実際学校探しを始めたところ、自宅に近い学校は軒並み拒否。理由は、オランダ語ができない駐在員の子供は、短期間の滞在にもかかわらず、学校側の受け入れ負担が大きいため。

結局インターに入れる方向へ方針転換。経済負担が小さい公立のインターはWaitingのためすぐには入学できず、次善の策として、すぐに入学できるインターに通わせることとしました。英語のフォニックスだけはやっていたので、子供にとっては英語の学校に行くことは違和感なかったと思います。

ただ、子供は最初とても苦労していました。英語は話せなかったため、辛い思いをしていたようです。夜寝る時間になっても大泣きして遊ぶのをやめませんでした。学校で遊び足りず、寝たら楽しくない学校に行くことが幼心にわ分かっていたのでしょう。朝もぎりぎりまで家にいて、トラムに走って乗りに行っている後ろ姿をみて、親として、痛々しく、申し訳ない辛い時期でした。母親はそれ以上に辛かったと思います。結局、3ケ月ほど過ぎて慣れてきたら落ち着き始め、一生モノの英語の基礎をこの2年間で身につけることができたと思います。

で、行き当たりばったりだった学校選び、結果的に英国系インターでした。

実は、これが次につながる選択になりました。もし、現地校へ言っていたら、子供はオランダ語が話せるようにはなっていたでしょうが、次の駐在で活かすことは無かったでしょう。偶然にもインターに通わせることになって、インターだと海外に住むにあたり、英語で教育を受けられる語学力の素地があれば、学校選択肢の間口を広がることを後になって理解しました。

端境期

オランダから帰任する時、子供含め家族では「次はマレーシア」と目標を定めていました。

実際、マレーシア赴任が決まって子供に伝えた時も「ああ、そう」という感じ。本人の心構えを作っていたことに加え、小学校4年の親密な人間関係が形成される前のタイミングだったこともラッキーでした。


オランダから帰国後次の赴任が決まるまで、英語力の保持に努めました。


1.海外子女教育財団の保持教室
   遠距離で通えませんでした。地方だとクラスも限られているのです。

2.インター校の放課後教室
   当初は地元の小さなインター校が実施している、週一の放課後の英語クラスに通わせました。生徒数が3,4名とあまりにも規模が小さく、通学の苦労の割に得るものが少ないため半年程度で止めました

3.オンライン英会話
  次にオンラインの英会話を受講しました。
  主催者側に、なるべく学年に合わせた対応ができる先生を選んでもらい、教育現場で使う英語を忘れないようにしました。妻が色々検討して、ECOMを続けました。


4.海外旅行
  夏休み中は海外旅行へ行き、海外を忘れないようにし、日本どっぷりにならないような機会作りも意識的に行いました。



それでも、子供の変化はすごく早く、帰国後半年くらいで一生懸命読んでいた英語の本は全く読まなくなりました。オランダとマレーシアのインターバルが3年弱でしたが、子供自身の英語の関心が切れてしまうぎりぎりのタイミングだったように思います。


小学校高学年~中学校(10歳~13歳、マレーシア)

ようやく決まったマレーシア赴任。

オランダで英国系インターに通っていたので、継続性を考慮して、英国系英国系インターの中から決定することにしました。オランダ時代の基準があるので、選び方は比較的楽でした。大よその居住予定地にある英国系インターを訪問し、子供に合いそうなところを選択しました。
でも、駐在期間が延びて高校進学期間にかかるようになると、日本では東京にしか英国カリキュラムを続けられる可能性が無く、関西居住者としては出口戦略としては難しい所もありました。

学校での教育内容については、母親がプライマリーまでは付き合っていましたが、セカンダリーに上がるときに、「親はこれ以上はついていけない。自分の力で授業について行きなさい」と、本人に任せることにしました。葉緑素とか、光合成とか単語がどんどん特殊になることに加え、英語でエッセイ(レポート)を書くなど、日本の英語教育内容で対応できる範囲を越えてきたたからです。

親は、子供が日本の教育に最低限ついて行けることに注力しました。マレーシア赴任終了後、いつ、どういった学校に進学するかわからなかったためです。



  • 日本の教育は家庭で実施
  ドリルや問題集を持参、大使館からもらう教科書に基づき、家庭学習を実施。


  • 読書は有効な日本語を学ぶ機会
  読書も有効な日本語保持、文化理解の手段ですので、引っ越しの時に、この先数年間の子供の成長に耐えられる書籍を百冊以上送りました。その後も今でも毎回日本に一時帰国するたびに、子供の成長や関心の変化にあった中古本を数十冊単位で送りました(HowToは下記ブログご参照)。
  中学校以降は、海外で出来る模試(関西圏出身なので馬淵教室)やスタディアプリを活用。ここは、妻が全面的に見てくれており、相当のパワーを使ってくれました。高校進学が近づいてきたら、現在の学力レベルがどの程度か、模試を受けて客観的に学力を把握しました。関西出身なら、個人レベルなら馬淵教室が模試の海外対応をしてくれます。対応が親切ですので、何回も使っています。



まとめ:学校の選び方


行き当たりばったりで英国系インターに通わせることになった自分が言うのもなんですが、インターに通わせる目的をはっきりさせましょう。

帰国子女ステイタスのためか、本格的なグローバル人材を目指すか。

自分たちの場合は、帰国子女のステイタスが欲しいということはあまり気にしていませんでした。海外にいるのに日本人ばかりの生活じゃ面白くないよね、そんな好奇心で、海外生活していると実感できる学校に通おう、という考えがベースにあったように思います。それでも、周到な準備やケアは怠りませんでした。


個人的には、帰国子女ステイタスが欲しいなら、日本人学校で十分だと思います。何と言っても圧倒的にリスクも低く、楽。下記のサイトで、帰国子女のステイタスについて詳しく書かれています。

帰国子女枠高校受験では、日本人学校出身でも受験資格はあるの、、?|生徒、保護者のためのグローバル教育情報|海外子女向けオンライン家庭教師のEDUBAL


インターに通わせるのは、聞こえはいいですが、大変な苦労が伴います。

例えば、学習の遅れや日本の学習内容のドロップ(抜け)
インター入学後英語習得までの間、学習はついていけない期間が発生することがあります。また、インターの授業について行けるようになったらなったで、日本の学習がドロップする、ということが起こります。

3年程度の駐在期間に、そういった学習の空白期間を作るリスク以上にお子さんにとってのメリットがあるのか、ということは良く考えたいです。


インターに通わせるということは、子供は語学習得と同時に授業についていくという二重の負担を負います。それをうまくガイドするだけの覚悟や知見が親側に求められます。インターに子供が通って楽しく通っているケースは、親御さんの多くが、自身が海外での教育を経てきたり、グローバルに生きていくことに対して腹が据わっている方が多いように感じます。

一方で、途中でギブアップされるご家庭が少なからずいました。

インターでも日本人学校でも日本の学校でも、学校に通うという行為の本質は、成長に応じた思考力や人間力の向上と言う点で同じですが、なぜかインターに「語学力の向上」を期待するご家庭があります。ギブアップされる家庭の多くはこのパターンです。

インターは学校です。英会話学校ではありません。英会話能力の習得や、帰国子女のステイタス欲しさだけでインターに通わせるのは、子供自身や親の負担に耐えれなくなる、キャリア上リスクのある選択肢になる可能性をはらんでいることは十分認識する必要があります。



ということで、海外駐在中、子供をどの学校に通わせるのがよいか?は、本当にインターに通わせるのが良いのか、という基礎の部分をしっかり考えることが吉なんだろうな、と自分の子供の学校選びを整理して思う次第です。



駐在中の学校選び、お勧めする考え方

次のステップで考えてみてはいかがでしょうか?
意外とシンプルだと思います。


  • 小さいうちは、日本語母語の定着が最優先
  • 小学校以降、インター通学なら、親の姿勢がしっかりしているか

二つ目は、抽象的ですね。次のような視点で考えて見てはどうでしょうか?


子供をインターに通わせる親の気持ちを確かめる5つの質問

①日本の教育にあった学力の保持を親として補完する準備はできているか?

例えば、子供がインターに行ったら、漢字は誰が教えますか?日本の地理や歴史の日本人としての基礎知識は得られません。それらを補てんするためには家庭独自の学習が必要。そこは親が補完する必要があります。親にそれだけの知識を与える責任感が無ければ、子供が将来英語で仕事ができる日本人となっても、自国・自文化の説明ができない日本人になってしまいます。

②進学(受験)の問題を考える準備はできているか?

日本・インター校ではカリキュラムの違いがあります。例えば英国系だとIGCSEと言う義務教育終了試験がありますが、これがないと次の進学に繋がりません。米国系ならまた別の資格です。IBもあります。これらが大学進学に繋がります。日本の大学や高校に行くのか、それならインターで受けようとしているカリキュラムとどうつながるのか、最近話題のIBならどうか、まだまだ日本語の情報が少ない中、主体的に知識を得ていく必要があります。

③学校とのコミュニケーション、親や友達とのお付き合いで親の英語力も求められるが対応しようと思っているか?

インターでは、ネイティブの先生や親御さんとコミュニケーションをする必要があります。子供は親を見て学びますので、外国人と交わらない子供は、同じように外国人に交わることに奥手?になります。親側にプレイデートで外国人のおうちに子供を連れていって、茶飲み話をする腹積もりを持てるでしょうか。

④子供の学校の宿題に応える、付き合う自信があるか?

日本でも、子供が分からない宿題があれば親が付き合うように、インターに通う子供が分からない宿題を持って帰ってくれば、親が付き合います。「英語だから、お父さんはできない」と言うメッセージを出してしまえば、子供だって「フェアじゃない、なんで自分だけ」とシラケてしまいますよね。

⑤学費と内容のバランスを考慮した学校選びの軸をもてそうか?

マレーシアには経済的なインターもありますが、値段は質に比例します。安いインターの多くは、マレーシア人のためのインターです。そういう所へ日本人を入れても、出来上がるのは英語ができるマレーシア人に近い日本人。日本人なのに日本の事がよく説明できない人材になってしまったら子供は将来Happyでしょうか。そんな視点の検討も必要です




これらに少なからず、「了解!」と言える気持ちを持っていれば、子供と一緒に学習に取り組み、課題を先読みする姿勢ができているので、うまくいくのではないでしょうか?


繰り返しますが、英語力向上目的程度の心づもりでは、インターは手ごわいです。

学年が上がれば上がるほどその傾向は強くなります。学年が上がればESL(EAL)クラスが無くなっていくのは、英語力が無ければ授業についていくのが困難、と一般的に理解されているからです。英語力を身に着けることと、英語で学習することは根本的に違います。この違いをよく理解すれば子供によって良い解が得られることになるでしょう。


こういったポイントをうまく押さえて、海外駐在中の楽しい学校生活が送れるといいですね!

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