今回は、駐在をめぐるいろいろなランキングを紹介しましょう。外務省が毎年実施している「海外在留邦人数調査統計」をいろいろな切り口で見てみました。
※今回のランキングでは、上記統計の「長期滞在者」の内数である「民間企業関係者」を便宜上「駐在員及びそのご家族」として扱っています。
世界一日本人駐在員が多い国は、アメリカ!一国としては圧倒的な数を誇ります。日本との経済的な結びつきの強さを感じます。あとは、東アジア・東南アジアが圧倒的に多いです。こちらも経済的な結びつきの強さを見ることができます。
このまとめには、少し見方を変えて、各国の人口に占める駐在員(含家族)比もつけています。
例えば中国は駐在員が多いものの、人口も多いから、10万人にたった8.5人。任地の厳しさというか、たくさんの中国人の中で頑張る駐在員の姿が見えてきそうですよね。
それ以外の国でもおおよそ10万人当たり100人。そこそこの規模の都市に、100人程度、と思えば駐在員ってマイナーな存在だなって実感できるのではないでしょうか?
その中で異色さが際立つのはシンガポール。6百万人弱の人口に日本人駐在員3万人、実に全人口の0.6%。ざっくり言って、200人集まれば1人は日本人駐在員(とそのご家族)が引っかかる計算に。
外国でこの日本人密度はすごいですね。例えれば、日本のどの中規模ファミリーマンションにもシンガポール人がいる、っていうとその確率すごいと思いませんか? 国土が小さい都市国家で、東南アジアの経済・金融のセンターとして進出企業数が多いことに加え、治安が良いことから家族帯同の方も多いのでしょう。
逆の意味で際立っているのがインド。
駐在員数が8千人を超える一大駐在国であるものの、人口比10万人当たりわずか0.7人。数字的には、もうほとんど駐在員が見当たらないのと同じレベルです。もちろん、実際は特定の都市に集中しているので駐在者の現実的な体感は違うのでしょうが、統計的にはインド駐在の過酷さをうかがわせる興味深い結果ですね。
調査の領事館公館別の統計を使いましたので、現地の行政都市圏とは一致しませんが、おおよその傾向はとらえていると考えます。
都市別では、上海、バンコクが他都市を圧倒していますね。上位10都市のうち、アジア7、米国2、欧州1という結果。
面白いのは、女性駐在員の割合と帯同家族数。
傾向として、国に関係なく、先進地域であると、女性駐在員割合および帯同数が高くなることが読み取れます。シンガポール・香港あたりは、ほぼ先進国と同じ環境といえるのかもしれません。住みやすさと地域の先進度には相関関係ありそうですね。
素直に並べると、なんと上位にアフリカ・中南米の国が上がってきました。実に意外。
伝統的に一夫多妻制が行われていることも影響しているのかもしれませんが、いかんせんN数が数名という極めて少ない国も含まれているため、一般化することには不安があるランキングです。
そのため、N数100以上の国だけに絞ったランキング(上位20国、下位10国)が次の表です。
な、なんと上位20国のうち、13国までが欧州を占める驚きの結果に!
逆に帯同家族が少ない下位10国は、中近東とアジアでほぼ独占状態。中近東は宗教的に女性の活動が極端に制限されているなど住みにくいイメージ、アジアの国々も所得が低い国が多く、教育や食事などご家族が安心して住める環境とはいいがたい可能性が想定されます。
さて、いかがだったでしょうか?
数字でみる日本人駐在員何でもランキング、おおむね普段ぼんやりと抱いているイメージ通りかもしれません。ま、なんにせよ、駐在員とそのご家族連れに欧州は住みやすいんでしょうね。
確かに我が家の場合も、オランダ赴任の打診があった晩、妻に伝えると二つ返事で「行く」でした。インドネシアへの帯同は初めてだったこともあり、妻にとってはなかなか思い切りのいる決断だったことと比べると雲泥の差ですね。一般的な感覚はそんなものかもしれません。
とはいえ、住めば都になることもまた事実。我が家は、三か国に住みましたが、どこも良い面悪い面色々ありますが、どこでもそれなりに機嫌よく住むことができています。なので、この駐在員ラインキングも、前向きに受け止めてほしいと思います。
例えば、駐在がきまり、不安感を感じておられるご家族の方、バンコクや上海には1万人以上の日本人ご家族が住んでいるんですよってことを知ると、安心感も違うかもしれませんよね。
1万人の方が既に生活しているなら、海外生活が特殊な技能が必要なものではなく、きっと自分たちもできる、って前向きな気持ちになるかもしれませんね。未経験の駐在生活も、1万人の仲間がいると思うと心強くありませんか?
少しでも駐在生活が楽しく、家族全体にとって有意義なものになる一つの見方としてとらえていただいたら嬉しいです。
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