今回は異文化理解の話です。海外駐在生活の基本部分の話です。仕事とは直接関係なさそうですが、子供の話からです。
うちの子は学校歴の大半をインター校で過ごし、英語は同齢のネイティブ並みの英語力ですが、高校生の頃から外国(英語)の小説はぱったり読まなくなりました。小学生のころは一生懸命読んでいたのですが…。日本の本は読み続けているので、本が嫌いになったわけではないのです。この現象を本人に深掘りすると、どうも英国文化の深いところが理解できないことが、遠ざけている理由でした。
例えば我が家なら親が共に日本人なので、子どもは成長過程で、「越後屋」と聞けば「お主も悪よのう」と応えられるようになっています。こういった文化継承は、日常生活や身近な家族との会話のなかで自然と、しかも高密度に行われています。それゆえに、他文化については当然難しいのです。インター校の学校生活だけでは圧倒的に足りません。そういったことが、子供自身が、年齢が高くなり、複雑で言外知の理解を前提とする小説を読むに従い、深い部分のニュアンスの読解が困難になり、断絶を感じるようになってきたようです。
ことほど左様に、言語はネイティブ並みになっても、生活に根付く文化理解が同じ地点に到達するのは別の話だと思い知らされました。この事実、仕事の上で異文化と触れ合っている自分にとっても考えさせる出来事でした。他国の人と仕事をするとき、限られた情報のメールや短いチャットでどこまで理解しあえるのか?どこまで自分の思いを正確に伝達できるのか?本当にできているのか?自分が「できているだろう」と思い込み(期待)しているレベルには実は、全然至ってない可能性を常に念頭に置いておかなきゃ、と思うわけです。
もちろん、大変そうだからといって諦めるんじゃなくて努力をするんだけど、うちの子の事例を思うたび、その難しさに思いを至らせる日々。でも、この難しさが異文化と仕事する面白さでもあるわけです。さあ精進、しょうじん
なお、この記事のもととなったX(旧ツイッター)のポストは一日で2万レビュー超えし、結構な反響がありました。以下は寄せられたコメントの一部です。
わかる気がする。
— ソフィー (@Sophiapixie) September 16, 2023
娘の学校で怖いショートムービーを見て、それについてグループディスカッションをするという授業があったんだけど、「恐怖」って、その文化的な背景に根差したものだから娘の感じるものとアメリカ人が感じるものって全く違うんだよね。
ローカルの子達は映画の中で https://t.co/vn0wF4HwIx
■言語学習の果ての文化理解
— なつき先輩@上海駐在のEC屋 (@SRuben1467) September 16, 2023
YASUさんの仰る事は本当に考えさせられる。結局言語を勉強していってあるレベルを超えると流暢に会話できる事よりも、相手の国や地域が大切にしているアイデンティティや矜持、その歴史背景を理解してる方が根本で分かり合える。
歴史はだから面白いしリベラルアーツ https://t.co/qdUsTgBEIW
わかる気がしました。どうしても同じ基礎を持てないというか、同じ土壌じゃないから、同じ作物が育たない畑みたいな。それを気付かされるしんどさが。 https://t.co/n9PdSilFiz
— 🏳️🌈*pinaco*🏳️⚧️ (@pinaco423) September 17, 2023
🇸🇬での会話が「自分の言いたい事だけを相手への配慮無く淡々と伝える」となりがちなのはまさにこういう理由も大きいのだろう。
— *olive (@jack_olive) September 17, 2023
同じ英語で話していても文化的背景が異なるので、相手の言葉の背景に読取れるものがない、あっても的外れな可能性大なので考慮しない。
お互いにこれをやれば会話は永遠に https://t.co/H4zihxpK2x
「諦めるんじゃなくて、精進精進」に1票。 https://t.co/xWYlB0z1ng
— 若草まや (@wakakusamaya) September 16, 2023
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