海外駐在にとって家は生活の基盤となる大切な場所
一方で、新しく飛び込む外国で、最初から日本人全くいない環境で住むには、それなりに勇気もいりますよね。多少なりとも日本人コミュニティともつながりたい、そんな不安な気持ちを持つのも当然。じゃあ、どうしたらいいんでしょうか?
自分の例を踏まえて、海外赴任時の家選びのポイントを伝えます。
駐在ごとに選んだ家の決め手
■インドネシア
日本の商社経営で、入居者の80%ほどが日本人のアパートでした。ロビーに日本の図書コーナーがあったり、子供もすぐに日本人の遊び仲間ができやすかったりして、初めての赴任には最適だった。当時は子供が小さかったので、プレイルーム広さが決め手の一つでしたが、最後の決め手はアパートの隣に大きな空き地があって、そこにヤギがいた牧歌的な風景でした(それが決め手だと聞くと、さすがに不動産屋もびっくりしていましたが(笑))。
こちらがその空き地。
土曜日になると、ローカルの若者がサッカーしていつも遊んでいたし、時々は子供と二人で散歩したりもしました。大都会で、安全のため、ほとんど街中を歩くことが無かったジャカルタ生活では、隣のこういった自然のある環境は貴重でした
■オランダ
(不動産の物件の見せ方に、一つ目は相手の基準を知るための捨て物件、二つ目は高めの物件を見せて無理だなーをおもせて、最後に、「ここで決めさせたい」という物件を見せて、契約に持ち込む、というテクニックがありますが、この物件は実は一つ目の物件でした)
唯一の難点は、学校が遠かったこと。通学に車で片道20分くらいかかり、放課後に学校の友達と遊ぶ(Play Date)するのに不自由だったことでした。
■マレーシア
納得できる駐在時の家選びのポイント
さて、こう見てみると、家族の成長ステージに応じて、かつ過去の反省に基づいて選ぶ基準を変えていってることが分かりますね。
ここからは、どうすれば自分たちが納得できる家選びができるか、過去の経験に基づいて整理しておきます。
①自分達にとって大切な条件を書き出して、リストにする
②自分達と話があう不動産屋、大家を探す
③海外ならではのリスクを考慮する
①家族に大切な条件を書きだしてみよう
そうすることで、自分たちが今求めているものは何か、優先順位はなにか、ということが明確になり、納得のいく家選びがしやすくなります。
また、準備の時間があったマレーシアとインドネシアは、夫婦で確認して決めた。
海外駐在の場合、ご主人が先に赴任し、家を決めて、あとでご家族が赴任するケースが結構あります。時折、奥様が家に不満を持っているケースを聞きますが、多くはご主人が家族とあまり会話しないまま決定しているようです。
家族帯同の場合、家は家族で過ごす大切な場所だから、まずは自分たちの価値観を大切にして、妥協することなくしっかり選びたいものですね。比較表の作成や共有は、家選びの会話のきっかけにもなるのでお勧めです。
また、条件のリストアップによって、不動産屋と話する時にも、自分たちの大切なポイントを説明しやすくなって、自分達主導の家選びに役立つというメリットもあります。
②駐在の家選びでは不動産屋や大家自身もポイント
なぜなら、住居に関しては、入居後は彼らが自分達と一番先にフェイシングする人達で、彼らと話が通じなければ、たちまち困ってしまうからです。
1)日本人エージェントとローカルエージェントどちらが良い?
日本人駐在員が多い地域には、日本人のエージェントがいます。言葉の面や日本人の好みをよく理解している、という点で安心感が高いですね。一方で、ローカルのエージェントの方が地元ネタに詳しく、場合によっては地元公共団体にもコネがあるなどの心強い部分もあります。
どちらも使った経験から行くと、傾向としては、日本人エージェントは紹介までという印象。入居後のトラブル対応まで考慮すると、ローカルエージェントの方が良いというのが個人的な印象です。
オランダでは日本人通訳がいるローカルエージェント、マレーシアでは日本人の性質をよく分かっているローカルエージェントで、いずれも入居後の対応は良く、不満はありませんでした。
エージェント視点で一方的に物件を勧めてくる人よりも、自分たちの意見を踏まえて、エージェントならではのアドバイスを正直に伝えて物件選びを手伝ってくれる不動産屋の方が、納得感が得られます。ということで、良いエージェントとの出会いも、良い家選びのキーポイントです。
2)実は大家選びも大切
あと、見落としがちなのが、大家さんとの相性。
ほとんどの駐在員は借家に入るはず。ということは大家(オーナー)との付き合いも発生しますよね。
マンションタイプの物件を選ぶ場合は、建物の管理会社が家のオーナーである物件(オーナー貸物件)の方がベター。
なぜか?
建築技術のせいなのか理由は分かりませんが、海外の住居は想像以上に何か起こりがちです。
そういった環境下、住居にまつわるトラブル(排水が悪い、水が出ない、電気がつかない等)が起こっても、建物の中にあるマネジメント事務所に言えば対応してもらえるからです。
インドネシアは、前述の通り日系管理会社が建物全体のオーナーだったため、修理や不具合も管理事務所に言えば、対応してくれたので、修理をする/しない、自分で修理業者を探すといった手間はありませんでした。
これが、個人オーナーから借りるとなると、修理依頼はオーナーに連絡し、オーナーが対応することになります。オーナーによってはお金を出し渋って、修理業者をなかなか呼ばないケースもあります。また、オーナーとの間でそもそもその修理はいるかいらないか、話し合うケースもあります。
マレーシアの場合は個人オーナー物件がほとんどで、同僚の中には苦労している人もいました。エージェントは、基本紹介業なので、こういった時あまりあてにはなりません。
自分の場合は、幸いオランダもマレーシアも良い大家に恵まれたため、大家とのトラブルはありませんでした。下見の時や借りる前に、大家さんと顔を合わせる機会があると思うので、そこで親切そうな人なのか、話が合いそうな人なのか、と自分が面接官になった気持ちで大家さんを見てみることをお勧めします。
マレーシアの住居を決めた時は、オーナーが日本に駐在した経験がある親日家の人でとてもよい人物だと感じたことが決め手の一つでした。実際、大変面倒見がよく、その直感は間違っていませんでした。
③海外ならではの注意点
1)新築は避ける
特に東南アジアでは新築物件は避けたほうがよいです。施工がどのようになされているかわからないため、初期不良が多発する恐れがあります。新築に入った同僚の家では、バスタブとタイルの間にコーキングがされていなかったために、バスタブの下に漏れた水がたまって、お風呂の床に水が溢れてきた例もありました。基本は建築後、2~3年別の人が住んで、一通り不具合を直した物件を選ぶ方がトラブルに合う確率を下げることができます。
2)その土地ならではのリスクを把握する
インドネシアの場合は、洪水が定期的に起きるため、土地の高低をチェックしました。気に入った物件でも、洪水時の時は、外に出れなくなると聞いて、候補から外した物件もありました。こういった地域によって異なるリスクを把握し、赴任時の家選びに反映したいものです。例えばクアラルンプールだと、土地の起伏が結構あります。洪水の心配はない代わりに、建物が山に近い場合、木をつたって敷地内に泥棒が侵入してきた物件がありました。
その他にも、低い住居階の場合、外部の壁やグリルをよじ登って室内に侵入するケースも実際にありました。一方で、あまり高層階だと停電時や水道ポンプ故障時に生活が困難になる可能性もあります。ジャカルタでは震度4程度の地震を経験したこともあり、マレーシアでは、階が低すぎず、高すぎない10階程度の物件を不動産屋に探しても
らった。
オランダの場合は、バカンスシーズン、窓ガラスを割って侵入する強盗リスクが高いため、人通りが比較的多いショッピングセンターに前の立地を選ぶという工夫を行いました。
このように、地域によって「リスク」そのものが変わります。その土地ならではのリスクを上手に把握して、物件選びにつなげたいですね。
大切なのは、自分たちの価値観をしっかり持つことと、良い出会いを引き寄せるための努力
さあ、いかがだったでしょうか?
日本でも家さがしは縁のものなので、どんな物件でもこだわらない、と言う人でなければ良い縁を探す努力は惜しまないことをお勧めします。その時に、今回の記事が皆さんの参考になって、Happyな駐在ライフに貢献すれば嬉しいです!
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