「海外駐在のデメリット」では、主に仕事の観点から海外駐在のデメリットを書いた。個人的な生活面のデメリットは書いていなかったが、ここでは家族生活の上でのデメリットと、それを克服するアイデアを記しておきたい。
駐在生活のデメリットともなる日本人との人間関係
多くの日本人海外駐在員は、日本人で固まる傾向が高い。情報交換、助け合い、等良い面も当然あるので、それはそれで一つの考え方。
ところが、ばかばかしい話だが、子供の生活にまで大人社会のヒエラルキーが入ってくることもある。「ムラ社会」化といったらよいのだろうか。
ひどい例では、日本人学校行きのバスに、前から大使館、銀行、商社、メーカーの順に子供が座るという例もあった。
親の職業とバスの座席順に何の関係もないのだが、不思議な風習があるものだ、と聞いた時には思った。海外では、大使館や銀行・商社は在外日本人団体の組織を支えていたりして、昔のムラの「名士」的な立場になっている側面が反映していた部分もあるのだろうが…。
子供が通っていたオランダのインターには、同級生の親御さんの中には、世界に名だたる大企業の社長やオーナーもいたが、子供の付き合いにはそういった親の属性は一切関係なかったのとは大きな違いがある。むしろ、そういったことをひけらかさない事が上流階級のたしなみではないか、と言うくらいのふるまい方をしていた。
狭い日本人社会に入ってしまうと、公私が混ざってしまう環境になる確率が高いことは残念ながら否めない。
完全に日本人からはずれるのも心配だろうが、できれば、
適度な距離感を持ちたい、というのが普通の心理だろう。
それはせっかく海外に来たのだから、いくばくかは海外生活らしさを味わって、新しいことを学びたい、という自分なりの期待感に応えることにもなるからで、とても大事な気持ちだと思う。
海外駐在時に日本人ムラ社会と距離を置く方法
じゃあ、せっかくの海外駐在の機会、狭いムラ社会になりがちな海外駐在生活を変える方法はあるのだろうか?
例えばその地の日本人社会のど真ん中からすこしだけずれた場所に住むことが一つの方法。
自分の場合、どこの国でも、日本人駐在員のどストライクの選択から少しずれた場所を結果的に選んでいた。
インドネシアでは、選んだアパートは80%位日本人だったが、立地的には日本人が集中して住んでいた地域から外れていた。
次のオランダの時は、日本人が多い都市には住んでいたが、日本人が好むマンションや郊外の新しい戸建て住宅は選ばず、あえて築50年のバスタブもない古い長屋に住んだ。
マレーシアの場合、日本人駐在員居住地域から車で10分ほど外れた地域を選んだ。1000戸位ある大規模なコンドミニアムだったが、日本人は恐らく数家族だっただろう。
この方法の良い所は、日本人との付き合いに一定の距離を置くことができるので、例えば会社の奥様会があったとしても、普段顔を合わせないので是々非々で対応できたりするなど、無理に「お友達」のペースに合わる必要が減る事。
外国人は、個々人のペースで生活することをよく理解し、尊重してくれるので、相手に合わせる、と言うストレスが日本人との付き合いよりずいぶん少ない。
ただ、これをすることで日本人との濃密な付き合いが減る分、日本人以外とのつながりを作らないと孤立する可能性もある。子供がいる駐在員家庭の場合、子供の友達作りにも密接に影響することだから、メリットだけでなくデメリットについてもよく検討してほしい。
せっかくの海外駐在のチャンスをうまく活用しよう
繰り返しになるが、せっかく海外に住むのだから、少し日本を客観視する位置をとり、日本の良いとこ、自分なりに変えたいことを見つけて、自分なりの生き方を組み立てていける機会にしていきたいものだ。
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