海外駐在は、日本にいる時よりも、同調圧力のハードルを乗り越えることを実践しやすい環境なので、ぜひ人と違うことを実践することをお勧めしたい。
ゴルフをしなかった海外駐在生活
例えばゴルフに行かない事。
自慢ではないが、今までゴルフコースに出たことが無い。駐在員の必須アイテムとも言われるゴルフクラブも所有したことが無い。
それは、最初の赴任先のインドネシア時代に遡る。
インドネシアでは、暑くなる前にゴルフを終えるため、朝6時くらいからプレーがスタートする。そうすると、家を5時くらいに出ないといけない。ゴルフに行くだけで休日の四分の一は無くなってしまい、家族との時間が取れない。
初めての海外駐在、生まれたばかりの子供がいる家族の傍にいたかったので、「家族サービス優先」を前面に出して、当初あったお誘いを一切断った。中には、人脈が広がるからプレーすることをお勧めする方もいたけど、全て丁寧にお断りした。
現実的には、平日は朝家族が起きる前に家を出て、日付が変わる頃にしか帰宅できず、妻や子供との時間を確保するため、たまにゴルフに行くことすら困難だったので、最初の決心は結果的に正しかった。
仕事への支障は無し
でも、だからといって仕事に実質的な支障はなかった。社内で仕事が回ってこないということもなかった。
銀行さんからもゴルフのお誘いはあったが、当たり前ながらそれを断ったから取引を止められるわけでもなかったし、帰任の時は「お別れゴルフの代わりに食事会しましょうか」と言う調子。相手も客商売なので相手の希望を尊重してくれる。
なので、正直「みんなに合わせずゴルフをしない」選択でのデメリットは無かった。
最初断るのはプレッシャー
一番最初は、ゴルフクラブも持たずに赴任することや上司や先輩からのお誘いを断るのは少々プレッシャーだったが、実際やってみると意外と何でもなかった。
中には、「ゴルフ行かないのは全く構わないが、ゴルフに行く人が多いのも事実なので、行かなくても食事の席で会話についていけるくらいの知識は持っておくこと」と親切なアドバイスをくれる先輩もいた。
カラオケのお誘いもお断り
夕食の二次会でいかがわしいお店へのお誘いも結構あったが、こちらも行かなかった。
妻に言えないことを作り、隠し続けるのが嫌だったからだ。今でも恩師と尊敬している上司に「コイツは俺が赴任した時、空港までお迎えに来てくれたお礼にカラオケに誘ったのに断ったんだよ」といつまでもネタにされたものの、本当に怒っていたわけではなかった(と思う)し、それで決定的に困ったことは無かった。
人にあわせず、困ることは実はあまりない
結局、人と同じことをしなかったことで分かったのは、それで別に困らないということ。世の中、家族の時間を大切にする人もいるだろうし、合コンが大切な人もいるだろうし、自転車が大切な人がいるだろう。人はそれぞれ価値基準が違うので、自分が納得する範囲で合わせればいい、ということだった。
日本だと、休日はみんなそれぞれに時間を過ごすのに、海外駐在したらみんな同じことをするというのは、何故だろう。小さな
日本人のムラ社会の中で過ごすからではないだろうか?
みんなと違う選択をすることに目くじらを立てる人がいれば、それだけ器が小さいということ位で受け止めたい。まぁ、これは会社や周囲の環境にもよっていて、いやいやながらいかがわしい店に連れて行かれる知人もいたので、自分の場合は自分の意見を通すことが許容されるような恵まれた環境にいたのも事実だろうが。
人と違う行動ができれば、部下を持った時にも役立つ
ちょっと人と違うことをやった結果は、自分が課長になって組織のリーダーになった時、部下それぞれの考えを尊重するというスタンスにつながっていて、部下の力を引き出すときにも役立ったと思う(グループのメンバーから言われた「課長って、良い加減ですよね。ええ加減じゃなくって」は忘れたくない言葉)。
また、そういった考えを行動で示すことで、続く後輩達にも、無理に自分の気持ちを押さえて他人に合わせなくても良い、ということを行動で示すことにもなり、大きな意味では生きやすい社会のためにもなっていくと思う。
海外駐在は、日本の外に出てそういったことの良い実践機会になる事だろうし、日本にいる時よりも、同調圧力が少ないので、ハードルを乗り越えることを実践しやすい環境だといえる。
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