個人の視点から見ると、海外駐在はとても貴重な機会。ツボにはまれば、駐在期間を延ばし、少しでも長くいたいと思うのも人情。長くいたいとき、駐在期間について、どう考えれば良いのかヒントをまとめてみた。
答えを先に書くと、海外駐在をする人、している人、自分で駐在期間を決められない人もいるだろうが、駐在ポストは是非他の人に回していくことを考えてはどうだろうか?
海外駐在経験者は良いファシリテーターになれる
組織の一員と言う点で見てみよう。
自分が得た経験を組織の活性化・向上のため、自分の身の回りに還元しファシリテートするためには、経験者本人が日本に戻る必要がある。
体験者しか持ちえない、リアルな声、経験に基づく言葉は、きっと仲間にも良い影響を与えるだろう。本やネットからだけでは出てこない、温度感を持った経験が一番の説得力を持つからだ。
海外駐在の経験が、あなたを良いファシリテーターにしてくれている。そして、あなたの経験は、組織の活性化につながる事だろう。
また、特別「会社のために」という使命感を持たなくてもいい。
身近な友人に、あなたの実経験を熱量をもって説明すれば、自分の知らない世界に興味を持つ友人も出てくるだろう。そうすれば、友人の世界も広がるかもしれない。
以上の事は、日本でしかできないこと。これが駐在ポストは一定期間で他の人に譲るべき、と考える1つの理由。
「いいね」の輪を広げよう
二つ目の理由。
今の自分のポストに後任が来れば、自分と同じような経験をする仲間を増やせる、と言う考え方もある。
あなたにとって良い駐在経験なら、他の人にも経験してもらうべきではないだろうか。
SNSで良い記事を見つけたら、クリックする「いいね」「♡」。このリアル版だと思えばいい。
自分が経験した、楽しいこと、うれしいこと、貴重な体験、苦労したけど後になって自分の成長を促していた経験、等、そういった体験は、独り占めするのではなく、他の人にも経験してもらい、共有できる仲間作りを考えたらどうだろうか。
将来、会社の中で「駐在経験者」という仲間ができれば、発信力を高められるし、幸せのおすそ分けは、それはそれでちょっとした社会貢献ではないだろうか。
駐在は「誰か」のもので「あなたのもの」ではない
もう少し現実的な3つめの理由。
海外の方が、日本国内で仕事しているよりも、トップとの距離も近いし、自分自身の権限や責任範囲が広がり、仕事にやりがいを感じやすい。それに加え、ローカルに囲まれて生活するため、ワークライフバランスもとれやすい。
なので、日本に戻りたくない、そのまま駐在を続けたい、という人もいる。それも一つの考え方。でも、敢えて言いたい。駐在ポストは、自分のためのものではないのだ。
冷静に考えてみよう。ほとんど海外駐在ポストは「あなたのため」に用意されているのではなく、「そこで期待している力を発揮する誰かのため」に用意されているもの。「誰が」が常に「自分」だというわけではない。そこは十分自覚しておきたい。
長くいると裸の王様になるリスクも
4つめは、ちょっと毛色が変わるが、デメリットの話。
海外に長くいると、職位が上がってることからのカン違いと、それを指摘する人が少ないため、自分の振る舞いを客観的に見られなくなり、わがままになってしまう人がいる。また海外手当目当てだと僻みをかうこともある。
そういったネガティブな側面が生まれる可能性も考慮した方が良い。
加えて言うなら、駐在期間が長すぎると、日本本社でローテーションが進んでいて、自分の居場所が無くなったてたり、逆に人の入れ替わりが多い駐在地で、周りが「長老」扱いしてハレモノ状態になってしまうことも。
このような、裸の王様になってしまうケースも実際にいくつもある。
また、駐在ポストに居続けるのは、変化を受け入れ柔軟な考え方を知る、本当の駐在経験者ではない。自分には駐在で得られる生き抜く力が本当は身についていない、ということを自ら示しているようなものだ。
良いものは人に勧めよう!
ということで、以上4つの理由を述べてきた。
簡単にまとめると、
① 組織に経験を還元できる
② 新しい人材を駐在ポストに送り出すことで人材育成となる
③ そもそも駐在ポストはローテーションの対象
④ 長くいると惰性になりがち
繰り返しになるが、駐在ポストは天下のまわりもの。一定期間をめどに、後任に譲るのがベストな選択肢。どれくらいの期間がいいのか?は下記のブログを参照してほしい。
海外駐在の理想的な赴任期間
海外駐在ポストは刺激に満ちている。そんな面白いポストは「いいね」とばかりにぜひみんなで共有するもの、と考えたい。
そして、海外の多様な視点を身に着けた人材が日本に戻り、自分の身の周りに刺激を与えることで、組織や社会をよくする推進力になって、会社や仲間にとって良い循環を是非生み出していきたいものだ。
「駐在員」と言う刻印を刻まれた者の責任
駐在先の日本人社長が、帰任者にかける言葉があった。
「あなた達には、”駐在員”という刻印が入っている。日本に帰っても、海外を経験した特別な人材と言う証拠であり責任があるということ。ぜひ日本で駐在経験を活かしてほしい」
そう、海外を知ってしまった我々は、海外のことをよく知らない周りの人に、世界の広がり、多様性を伝える伝道師になっているのだ。そして、自分の周りに良い影響を与える役割を担っているのだ。それを一人でするのはしんどい。だから、駐在員のポストは誰かに譲り、伝道師を増やしてみよう。
いや、自分はそんな伝道師になりたくない?日本に帰りたくない?それも一つの選択。
でも、世界中がフラットになって、日本にもどんどんと外国人環境客が押し寄せ、外国人労働者が増えていって、海外との仕事も否応なく増えている日本こそ、海外駐在員の経験が必要だと思う。
0 件のコメント :
コメントを投稿