海外駐在で大切な英語力とは単語や文法のことではなく、伝える力


言葉には「伝達」と「思考」の二つの側面がある事を意識しよう


海外駐在員の悩みの一つに、英語での現地メンバーとのコミュニケーションがある。

英語はツールとして重要なのだが、言葉には「伝達のための道具」と「思考のための道具」という二つの側面があると言われている。そして、「ツール」として使うとしても、単なる翻訳では伝えられないものだ、と言うことをよく理解しておきたい。


例えば、次の国際ジャーナリストの方の見解。


「日本語で書いたものを英語に翻訳しても通用しません。なぜなら、日本人の思考回路で納得できるように書かれたものは、論理よりも情緒に重きが置かれているからです。論理4割、情緒6割くらいでしょうか。そうではなく、様々な視点から、国際的に受け入れられる論理を組み立てて、英語で雄弁に発信していく。」

日本語に基づいた思考を日本人以外に理解してもらうためには、伝える方法(論理)をよく考えなければいけない、と言う指摘。


このベースにあるのは、最初に書いた言葉の二つの側面の話。

われわれは母国語である日本語で思考している。それは日本の文化や風土などに根付いた日本独特のものだということだ(もちろん、独特、というのは他の言語に当てはめても同じこと)。だからこそ、日本の発想に基づいた考えを、その他の文化の人に対して単純に翻訳しても、通じない、ということが説明されている。


大切なのはコミュニケーションが取れる事


語学ができることと、海外で仕事ができることは別、と言う話があるが、まさにこのこと。海外駐在者はここを良く心得えておきたい。

海外駐在で、英語の単語や文法を知っていて使えると言う意味の「英語ができる」と、英語を使って相手に自分の考えを理解してもらえるように説明することは、別の次元の話

海外駐在で大切なのは、コミュニケーションが取れること。すなわち、異なる意見や文化を受け入れること、自分の考えを相手に理解してもらえるように伝えられること、そしてお互いの意見の合意点を見つけて、前に進むこと。
       駐在員に必要なスキル ②自分の意見を伝える      )


なので、会社の海外赴任前研修で英語を勉強したら、それで海外駐在の準備OKか、と言うとそうはならない。片手落ちである。

海外駐在において大切なのは、相手とどう理解しあうか、ということなのだから。(なので、逆に言うと、英語ができないことが海外駐在員になれない決定的な理由にもならないし、エリート意識が強すぎて上から目線になる駐在員が上手くやっていけないのもこの理由)。

海外駐在員になりたい人は、ぜひこの点を肝に銘じてほしい。


駐在のためのコミュニケーションスキル獲得方法

海外駐在に必要なこのセンスは、「異文化コミュニケーションへの免疫をつけよう」でも述べたように、普段の生活の中でも十分に鍛えられる。

上司の立場になって考えてみる、恋人の立場になって考えてみる、お客さんの立場になって考えてみる等々、相手に自分の考えを理解してもらう時に思いめぐらせる事、それは相手の洋の東西を問わず必要な事だし、結構毎日していることなんではないだろうか。普段からこのことを心がけている人は、海外駐在もうまくやっていける可能性が高い。


駐在員に必要なスキル」でも書いたように、コミュニケーションスキルこそが海外駐在員にとって重要なスキル。これから海外駐在員を目指す人も、語学力としての英語もさることながら、コミュニケーション力を是非意識して普段から生活してほしい。

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