駐在して出会った嘘のようなホントの話


「所変われば、品変わる」という格言がありますが、実際海外駐在すると「常識ってなんだろう」と思う場面に多々出会います。今回は、3か国で駐在員をしてきた自分が出会った、出来事と、そこから考えた、海外駐在員が現地でコミュニケーションをしていくにあたって必要な心構えを紹介してみようと思います。


嘘のようなホントの話 

皆さん、以下の話をどう思いますか?
 ・突然3日後が祝日になる
 ・新年は11日ではない
 ・小数点はピリオド(.)で書かない
 ・学校に文房具を持って行かない
 ・サンタクロースが来ない国がある
 ・小学校の学年が上がると、生徒が減っていく

へぇと思われた話はあったでしょうか。実はどれも、自分が見てきたホントの話。


祝日が増える

マレーシアのセランゴール州が、10年ぶりに州対抗のサッカー大会で優勝したことを祝い、急きょ2日後の月曜日を祝日としたことがありました。2018年の総選挙でも、野党連合の公約の一つに「勝利したら開票日翌日は休日」が掲げられ、本当に野党が勝利したため、休日が増えたこともあります。

新年

日常の基本である暦だって異なります。

今でもイスラム新年は太陰暦で決まっているため、毎年10日ほど前にずれてきます。実際インドネシア赴任が終わった2009年は9月末がちょうどイスラム新年でしたが、マレーシアに赴任した2016年には7月まで来てました。

小数点

ピリオド(.)ではなくコンマ(,)を使う国も少なくありません。そういった国では、桁区切りのコンマがピリオドになります。ドイツやインドネシアは小数点がコンマ(桁区切りがピリオド)なので、大きな金額を見る時はとても違和感を感じました。ま、確かにエクセルもどちらでも使える仕様になっているので、そういうもんだと言われればそれまでですが・・・。

文房具を学校に持って行かない

インターナショナルスクールに通ったうちの子供は、小学校の低学年までは自分の文房具を学校に持って行きませんでした。教室に必要なものを置いているのです。ということで、インターの小学校入学前に鉛筆や持ち物に名前シールを貼るなんてこともありませんでした。

サンタクロースが来ないオランダ

オランダでは、サンタクロースは来ません。

代わりに「シンタクラース」が子供にプレゼントを持ってきてくれます。シャレに聞こえるかもしれないが、本当の話。

シンタクラースはトナカイならぬ白馬に乗って、街をパレードします。

実はこれ、シンタクラースをモデルにしてアメリカで作られた話がサンタクロースなので、こちらが本家なのでした。

小学校の生徒が減るインドネシア

怪談ではなくて、ちょっと重い話。10年以上前のインドネシアの農村部なら、小学校を途中で行かなくなる、というのも常識でした。全学年に並んでもらうと、学年が上がるにつれ生徒数が減るのです。労働力になる小学校高学年になったら、学校に行くことよりも、茶畑でお茶を摘んでお金を稼ぐほうが大切とされていたからでした。このようなことは多くの国で起こっていることでしょう。


世界には自分の知らない常識が溢れている

何か言いたいかと言えば、自分の常識にあてはまらないことが世界には多々あるということ。

海外駐在すれば、こういった「へぇ」と思うことに度々出会います(自分の駐在は比較的恵まれた環境の国ばかりなので、駐在地によっては、もっともっと驚くご経験をされている駐在んの方もあまたおられることでしょう)。

「へぇ」を繰り返しているうちに、誰かが言う「これが世間の常識」に「いやいや、そうでもないで」や「そんなこともないやろ」と心の中でひそかに突っ込みをしてしまうようになります。

この突っ込みをする境地になることが、実は海外駐在をする人が現地でコミュニケーションをとっていく大切なポイントなのです

もう少し言い方を変えると、国や地域によって、教育、制度や文化的慣習が違う。だからこそ、相手とのコミュニケーションを取るにあたって、自分の常識の枠を取っ払って相手を理解しようとしない限り、本当に相手を理解することにはつながらない、ということなのです。


自分の常識だけでコミュニケーションをしない

先の例で言えば、ドイツ人に「小数点はピリオドが常識だから書き換えろ」と言うのは、あまり生産的な話では無いことが分かるでしょう。彼らからすれば、コンマこそが「常識」なのですから。

自分の常識を振りかざしているだけでは、むしろ「お前は世界には複数の書き方があることも知らん教養のない人間か」とすら思われる可能性すらあります。

なので、自分の常識に入りきらない話に出会った時は、まずは自分の疑問・違和感を解きほぐすために、相手としっかり話をして自分の疑問点をクリアにしていくことが大切になるのです。

自分は、このスタートポイントを大切にしています。10年の海外駐在経験で、こういった違和感を上手く消化するために、周囲とコミュニケーションすることの大切さ実行してきました。


"常識"にとらわれないコミュニケーションは日本でも同じ

ところで、先に述べた許容度なり、懐を広く構える意識は決して海外駐在員にだけ必要となる心構えではありません。日本でも、性別の違いや出身地方など、各人違うバックグランドを持っているので、常識が違っていることが起こりえます。

そういった場面に出会った時、どういった振る舞いができるかで、相手とのコミュニケーションが深まるのか、断絶するのか、その先が別れてくることが容易に想像できますね。

日本のことで例に挙げると、次のような感じでしょうか。自分にとって、お好み焼きはマヨネーズをかけない食べ物ですが、マヨネーズをかける人が多数派であることも知っています。

大切なのは、多数派に「マヨネーズは邪道だ」としてマヨネーズをかけないことを求めるなど、自分の常識だけで決めつけるのではなく、お互いが楽しくお好み焼きを食べる方法をみつけることなのです。

まとめ

閑話休題、世の中には、自分の常識に当てはまらない、嘘のようなホントの話に溢れています。無知の知という言葉がありますが、ホントその通りで、自分が知っていることは、世界のほんの一部だと思い知らされます。

海外駐在すれば、それはなおさら。

その時に、知っていることだけで世界を〇×判断しようとすると、違う世界の生きる相手から見ると「なんやこいつは了見狭いやっちゃな」となってしまいます。

知らないことは知らないでいいではありませんか。知らなかったら「なんなん、それ教えてよ」と言えばいいのです。頼ってくる人はかわいく見えるのは人の世の常、これを大いに使って、海外駐在でのコミュニケーションを潤滑にしていきましょう!

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