ところ変われば・・・というのは良く使われるフレーズだが、働き方も国が変われば随分違う。海外駐在すればたちまちそのギャップに出会うし、それを受容できるかできないかで、日々の駐在の楽しさも変わってくるだろう。
駐在した国には、日本を入れると4か国。月一の訪問ベースの国まで入れたら、合計6カ国。
少ないながらも各国の働き方を見た結果、日本の働き方はとにかく長時間。夜10時に帰らないといけなかった時は朝始発で通勤していたし、そういった規制が無かった時は逆に終電に間に合わず、毎週のようにタクシー帰宅を続けた挙句、タクシー会社の伝説的な人物になった時代もあった。
それと比べると、他の国々はとにかくよく休む。しっかり休む。それでも、仕事はそれなりに回っているケースが多い。特に欧州では、3週間のバカンスを取る人が多かった。その期間は、基本的にメール対応も無し。代わりの人間がそれなりに対応していた。
さすがに某超大手ビール会社の社長さんは、「いざとなったらプライベートジェットが迎えに来んねん」とのたまったが・・・・。そんないつでも仕事モードにならないといけない人でもしっかりバカンスに行っていた、と言うところが欧州らしかった。
また、残業はほとんどしない。定時を過ぎればオフィスは閑散となる。よく訪問していた取引先では、金曜日の3時ころから、情報交換会兼ねた立食のティータイムすらあった。
ところ変われば、仕事スタイルも随分ちがうものだなぁ、という感銘を受けたものだ。日本だと、そんな優雅な仕事をしているオフィスは少ないのではないだろうか。いや、今の新しい企業だとそうでもないのかもしれないが…。ま、そういったことも駐在してリアルに目の当たりにすると、理解が深まるというものだ。
ちなみに、先の例はオランダの話で、マレーシアやインドネシアでは、職場の自席で朝食、昼食の食事をすることが結構当たり前。その時間帯は、フロアに食事のにおいが充満する。インドネシアでは、電話一本で会社の前の屋台からナシゴレンが配達されてきた。日本でも昔は出前取っていたようだが、さすがに今は少なくなっているのではないだろうか。
そんな感じで、海外駐在すると、働き方というのは本当に多様ということを肌で感じることになるだろう。
もちろん、日本と同じ会社や国もある。例えばインドネシアの出向先部署は、若手は夜11時くらいまで結構残っていたし、オランダでも、転職先が毎日残業続きの今で言ういわゆるブラック企業まがいのところだった、なんて話も聞いたことがあるので一概には言えないが、総じて、働き方は日本と外国で随分異なる。
こういう違いを見てきた結果の自分の理解は、「日本は特殊」。日本を出ると、多くの人が、仕事とプライベートを羨ましいほど並立させて生活している。日本の中で毎日机にしがみついて仕事をしていることが、ちょっとむなしくなったりもする。
当然、日本人としてのアウトプットなり、仕事の取り組み方に矜持みたいなものもある。きちんと書類をまとめるだとか、情報共有をしっかりするとか、相手の気持ちを汲みながら合意形成を重視するとか。それでも、日本の外の国の働き方は、憧れを抱いてしまう。
なぜ、こう憧れるのだろうか?
それは、彼らが異常に怠けていたり、仕事をしていないわけでもないからだ(もちろん、全然仕事していない人もいるが・・・)。
例えば、オランダやドイツ、ベルギーの一人当たりGDPは日本よりも高い。さすがにマレーシアやインドネシアは日本には及ばないが・・・。残業もせず、しっかり休むのに生産性が高く、生活水準も高い。これっていったいなんだろうなーという思いを強く感じた。
結局、日本人は一杯働いているけど効率が悪いだけなのではないか。職場にいることが目的になってしまっているのではないだろうか。今まで自分が知っていた(日本の)常識が、本当に常識なんだろうか、と思ってしまったのだ。
だからこそ、海外駐在に出たら、そこは許容できるように心がけたいと訴えたい。そうしないと、海外駐在ではストレスがたまってしまう。それを防ぐためにも、日本と働き方のスタンスが違いを許容して、違いをうまく調整しないといけない。
日本式の働き方が駐在地の同僚の感覚に合わなければ、彼らとのスムーズな関係は築きにくい。「郷に入れば郷に従え」。ローカルの生活目線に自ら合わせにいくことで、より駐在生活が豊かになる事だろう。
そして、日本人としての矜持は保ちながらも、現地の風土を取り入れ、日本ではできない働き方をやってみてはどうだろうか?それによって、働き方に対する考え方や取り組み方の引き出しが増え、自分中の選択肢が増える。将来いろいろな考え方、働き方の部下を得たとしても、柔軟に対応できるようにもなり、マネージャーとしての資産にもなるだろう。
ま、ということで、せっかくの海外駐在なら、日本ではできない働き方をするというのは、①プライベートな生活の豊かさ ②ローカルへの理解を深める ③自分の知見を深める といったいろいろな観点でメリットがあることと言えるだろう。もう海外駐在している人も、これから海外駐在するひとも、いずれ海外駐在したい人にもぜひぜひお勧めしたい。
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